2012年の転職市場はどうなる? 雇用環境をひも解けば“今”が見えてきた新連載スタート・これからのことがよく分かるコラム(3/4 ページ)

» 2012年03月30日 08時01分 公開
[黒田真行,Business Media 誠]

 その1つの結果が、雇用の現状(リクルート ワークス研究所)のフリーター数の推移に(卒業後に就職していない既卒者を含む)表れている。1987年の79万人から、1992年101万人を経て、2002年の208万人、2010年183万人と高止まりを続けているのだ。リーマンショック前の求人数の伸びや、求人倍率が改善した時期にも、この傾向に変化は見られていない。

フリーターの数が高止まりを続けている(出典:リクルートワークス研究所)

 上記のIT系や、流通・小売、介護など需要のひっ迫した業界、あるいは規模別で見た中小企業・ベンチャー、地方での雇用など、「人手不足」のカテゴリーへどう人材の橋渡しをしていくか、という対策が急がれている。

リーマンショック後に加速する「雇用のグローバル化」とは?

 日本企業の競争環境は、リーマンショック後、一段と厳しさを増している。主力産業であった家電や自動車といった分野での低迷や、円高、デフレが否応なく競争力にダメージを与えているからだ。その厳しい環境が、背中を押すようにトレンドを作り出しているのが、「雇用のグローバル化」である。

 「グローバル人材」という抽象的な言葉が広がっているが、その実情は大きく以下の2点だ。

(1)海外拠点拡大による勤務地のグローバル化(現地外国人含む)

 中国、シンガポール、ベトナム、インドネシアなどでの新規拠点(製造拠点と営業拠点)における採用の強化。製造拠点の場合は、生産性の向上を担う工場長経験者や生産管理技術者などの雇用が多いのが特徴的。また営業拠点の場合は、文字通り拠点を置く国での対外営業活動が中心で、国籍にかかわりなく円滑な営業活動を行える語学力とビジネススキルが必須となっている傾向がある。

(2)国内拠点における外国語対応人材採用の拡大(在留外国人含む)

 たとえ海外拠点がなかったとしても、少子化の進む国内マーケット以外に製品需要を海外に求める企業は、増加の一方だ。従来から輸出入を専業としている商社やメーカーだけでなく、これまで内需中心だった業界や企業でも、外国語対応人材の募集が増加しているのだ。

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