コラム
» 2012年05月10日 08時01分 公開

相場英雄の時事日想:“激安”に潜む危険性とマスコミの罪 (2/3)

[相場英雄,Business Media 誠]

激安に潜む落とし穴

 話をツアーバス事故に戻す。一連の報道の中で、複数のニュース番組がツアーバス運転手の覆面インタビューを行っていた。いずれも「運転手の過労がむごく、身内には絶対に乗るなと言っている」との主旨で複数のインタビューが放映された。

 翻って、焼肉チェーンの集団食中毒が発生した際も、同様のインタビューやコメントが寄せられた。

 当コラムで触れた「ピンクスライム」も同様で(関連記事)、世の中にはびこる激安商品には数々のカラクリが潜んでいるのだ。海外のファストフード店でピンクスライムのような加工食品が大量に使われていたように、激安商品を生み出し、これを消費者に提供する企業は「“激安”でも黒字化するように工夫を施す」(食肉加工関係者)。

 消費者の求める「低価格」という需要を満たしつつ、企業はきっちりと利益をあげるのだ。ボランティアで消費者に喜んでもらおうというわけではない。換言すれば、企業は利益が第一であり、激安商品に飛びつく消費者の存在、そしてその商品の安全性は二の次になっている、ということなのだ。

 ツアーバス事故、あるいは集団食中毒事件は大きく報道されたが、当のマスコミ自身は一連の“激安商品”を興味本位で伝えるケースが多い。特に夕方のニュース番組、あるいは情報番組の中では、大手企業が提供する激安を特集し、消費者を煽(あお)る。

 また、こうした商品を提供する企業の多くは民放の有力スポンサーである場合もあり、「(広告との)タイアップ的に番組内の企画を作るケースさえある」(大手広告代理店関係者)との側面もある。

 激安商品全てにリスクが潜んでいると筆者は考えていないが、デフレ経済下で幅を利かせる低価格の人気商品には、多かれ少なかれリスクが潜んでいるとみる。

 食品や運輸に関わる商品やサービスは、人の健康や生命に直結する。事件・事故が起きたときばかり大騒ぎするマスコミは、消費者を守るという意識が希薄だ。格安の商品・サービスについては、「これ、安過ぎないか?」と立ち止まる消費者一人ひとりの判断が必要だ。自分なりに「適正価格」のモノサシを持っていなければ、誰も守ってくれないのだ。

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