「ピンクスライム」は問題にならないのか 食品業界の裏側に迫る相場英雄の時事日想(1/4 ページ)

» 2012年04月12日 08時01分 公開
[相場英雄,Business Media 誠]

相場英雄(あいば・ひでお)氏のプロフィール

1967年新潟県生まれ。1989年時事通信社入社、経済速報メディアの編集に携わったあと、1995年から日銀金融記者クラブで外為、金利、デリバティブ問題などを担当。その後兜記者クラブで外資系金融機関、株式市況を担当。2005年、『デフォルト(債務不履行)』(角川文庫)で第2回ダイヤモンド経済小説大賞を受賞、作家デビュー。2006年末に同社退社、執筆活動に。著書に『偽装通貨』(東京書籍)、『偽計 みちのく麺食い記者・宮沢賢一郎』(双葉社)、『震える牛』(小学館)などのほか、漫画原作『フラグマン』(小学館ビッグコミックオリジナル増刊)連載。ブログ:「相場英雄の酩酊日記」、Twitterアカウント:@aibahideo


 ここ数週間、米国のファストフード業界が揺れているのをご存じだろうか。ファストフードのビジネスモデルの根幹を成す「低価格」を支えたある加工食品がやり玉に上がっているのだ。

 米当局や専門家はこの加工食品の安全性に問題はないと指摘しているが、同国の消費者からは猛烈な反発を招いている。これは同国だけの問題なのか。筆者は強く否、と主張する。

ピンクスライムの衝撃

 冒頭で触れた加工食品とは、「ピンクスライム」のことだ。これは、牛の屑肉をアンモニア水で洗浄し、食品添加物や化学調味料と混ぜてでき上がるピンク色をした「肉由来製品」のことだ。

 米国では大手ファストフードチェーンが主力のハンバーガーのパテのつなぎとして多用してきた経緯がある。ところが、先に著名な英国の料理家がこの加工食品のいかがわしい面に焦点を当て、動画を公開したことから、米国の消費者から猛烈な批判の声が上がったのだ。


 料理家ジェイミー・オリバー氏がピンクスライムを説明した動画がネット上で話題となり、読者の中にも目にした向きが少なくないはず。日本のファストフード業界はどうなっているのか、との議論も活発化した経緯がある。

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