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» 2012年05月16日 08時00分 公開

ノンワイヤーブラとカラオケをフレームワークで分析しよう!それゆけ! カナモリさん(2/2 ページ)

[金森努,GLOBIS.JP]
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中核価値を根底から覆す――カラオケボックス

 3つめは、「中核」価値に手を入れた例だ。

 カラオケボックスの「中核」価値は「歌が歌える」ことである(そこに異論を唱える人は、まずいないだろう)。その中核価値を、「コンサート中継を見られる」ことに置き変えてしまったのが、第一興商のビッグエコーによる以下の取り組みである。

 「第一興商は運営するカラオケ店『ビッグエコー』向けに歌謡コンサートを生中継で配信する。5月7〜10日に浅草公会堂(東京・台東)で開催するコンサートを札幌や名古屋などの10店舗で配信。今後も配信する内容を検討し、カラオケ店の利用者拡大につなげる」(「第一興商、カラオケ店向けに、歌謡コンサート生中継」『日経MJ』2012年4月25日付)。

 これはなかなか勇気のある決断と言えるだろう。ナゼなら、「自分たちは何者であるのか」「どのような戦いの土俵で戦うのか」というドメインを拡張しているからである。

 もちろん、コンサート配信をした結果として、映像を見に来たお客が登場したアーティストと同じ曲を歌うためにカラオケボックスを長時間にわたり利用していく、という元来の中核価値に寄った効果も期待はできるが、戦いの土俵を拡大させれば、当然、競合も増えることになる。“本家”のコンサート会場はもちろん、近ごろ同様のパブリックビューイングに力を入れ始めた映画館とも競合するのだ。

 しかし、これは必要に迫られての決断とも言えるだろう。カラオケボックスの利用は1998年ごろをピークに右肩下がり。中小零細の淘汰は進み、大手といえども安泰ではない。ゆえに、中核価値を拡大するという決断をしたのだろう。先述の映画館も、観客動員数の減少という不安を抱えているが故に同様の決断をしたのだと推測できる。当初、自己定義した中核価値にとらわれていては、なかなか発想できない事業モデルでもある。

 売り上げを伸ばし、生き残るためには、勇気を持って常識にとらわれず、価値構造を変化させていくことが必要だ。そのための指標となるのが、この「製品特性分析」である。「売れない」と嘆く前に、一度お試しあれ。

金森努(かなもり・つとむ)

東洋大学経営法学科卒。大手コールセンターに入社。本当の「顧客の生の声」に触れ、マーケティング・コミュニケーションの世界に魅了されてこの道 18年。コンサルティング事務所、大手広告代理店ダイレクトマーケティング関連会社を経て、2005年独立起業。青山学院大学経済学部非常勤講師としてベンチャー・マーケティング論も担当。

共著書「CS経営のための電話活用術」(誠文堂新光社)「思考停止企業」(ダイヤモンド社)。「日経BizPlus」などのウェブサイト・「販促会議」など雑誌への連載、講演・各メディアへの出演多数。一貫してマーケティングにおける「顧客視点」の重要性を説く。Facebookでもいろいろ発言しています。


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