“金太郎あめ”車両が、増えた理由どうなる? 鉄道の未来(おまけ)(5/6 ページ)

» 2012年06月02日 00時01分 公開
[土肥義則,Business Media 誠]

杉山:ダイバーシティ、多様性というのであれば、確かにいろいろあったほうが楽しいですね。同じ通勤電車ばかりでつまらないというけれど、導入するときに、もうひと工夫すればいいんですよ。例えば富士急行に入った6000系は元京葉線の205系(参照リンク)。初列車に乗りましたが、帰宅時間の女子高生が乗った瞬間に「うわぁきれい」って言ってました。車内が明るいんですよ。木材も使っていてちょっとゴージャス。「IKEAっぽい」というと言い過ぎかもしれませんが。

富士急行に入った6000系は、元京葉線の205系(撮影:杉山淳一)

 それにしても中古車を導入する地方の私鉄は大変ですよ。車種が多いと修理部品の管理も増えるので。福井鉄道にはスゴイ技術者がいて、自社の工場で部品を作ってしまうそうです。地方私鉄にはそんな職人さんがたくさんいるのかもしれない。

大塚:確かに、旧型車両は交換する部品の確保やメンテナンスが大変なようですね。例えば江ノ島電鉄の深谷研二社長も「鉄道ファンらに人気がある『江ノ電の顔』(300形)をできるだけ残したいが、部品をどうするかといった頭が痛いことも多い」と打ち明けていました。苦心されているのは分かるのですが、古くからの支持者を抱えた旧型車両はそれ自体が“客寄せパンダ”となる貴重な存在であることを再認識していただきたい。

 鉄道会社に勤務する知人の1人は、車両についてA地点からB地点に移動する台車のような見方を示していましたが、私はちょっと違うと思っています。乗り心地が優れていたり、車窓を楽しめるように工夫していたり、長年にわたり現役でいぶし銀の魅力を持っていたりする車両は、それを目当てに遠方からの観光客も呼び込める“千両役者”となりうるのではないでしょうか。

杉山:JR九州からクルージングトレイン「ななつぼし」の概要が発表されました(参照リンク)。これはもうデザイン重視。「先にデザインがあって、あとからそれを乗っける車体を考えよう」みたいな。Webサイトでデザイン画を閲覧できますけど、あれを見ているだけでワクワクします。特別な列車には特別なデザインがあるんですね。

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