「カスタマイズOK」の賃貸物件が、なぜ増えているのかこれからのことがよく分かるコラム(5/6 ページ)

» 2012年06月20日 08時03分 公開
[池本洋一,Business Media 誠]

みんなで「部屋をいじりたい」って言おう

 欧米では15年以上同じ賃貸に住む人が20%超と、日本の倍以上。平均居住年数もニューヨークは8.8年と東京の5.4年よりはるかに長いですね。その理由のひとつに「愛着」があるのではないでしょうか。自分好みにカスタマイズできる住まいに「愛着」がわき、結果長く住もうという意向につながる。長期居住は大家さんにとってもプラスで賃貸経営の安定につながりますので、今後は「愛着」がキーワードになるかもしれません。

ニューヨークのとある賃貸住宅。ソファに合わせて、壁の色をボルドーを軸にコーディネイトしている。壁面も有効活用して、お気に入りのインテリア小物を置いている。ちなみに欧米の賃貸には原状回復の義務という概念はない

 「賃貸カスタマイズ」は住文化の成熟にも寄与する可能性があります。一般には築30年程度の中古住宅を見ると、設備が古い、間取りが古いという印象を受けます。新築を選んだ人にその理由を聞くと「設備の新しさ」や「収納豊富」など、立地や構造といった「後から変えられないもの以外」を挙げる人がいます。

 もちろん、それ自体は否定すべきものではありません。ただ賃貸時代に壁を自由にいじったり、床を変えたり、キッチンの扉の色を変えるなどの経験があれば、古い住宅を見たときに「あれもできる」「これもできる」とイメージを膨らませることができるのではないでしょうか。

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