「カスタマイズOK」の賃貸物件が、なぜ増えているのかこれからのことがよく分かるコラム(3/6 ページ)

» 2012年06月20日 08時03分 公開
[池本洋一,Business Media 誠]

大家さんは反対しないの?

 こうしたカスタマイズニーズに対し、大家さん(オーナー)はどのような認識を持っているのでしょうか?

 入居者からカスタマイズの要望があった場合、オーナー側が費用を負担するかどうか聞いたところ、小規模、大規模なカスタマイズともに半数以上が「全額拠出を検討」と回答。「部分拠出」も加えると8割以上のオーナーが受け入れに前向きという結果に。

入居者から、「壁に棚板をつける」「照明を好みのものに変えたい」などのカスタマイズ要望があった場合の、費用負担の考え方について教えてください(リクルートSUUMO 「2011年住まいに関するカスタマー調査」)

 ただし、これには「一定の築年数を超えたら」という条件があります。どれくらいの築年数ですか? と聞くと「築20年以上」だと9割近くが、「築10年以上」で約4割がOKと回答。思ったよりハードルが高くないことが分かります。

どれくらいの築年数を超えるとリフォーム・カスタマイズを容認するといった、おおよその基準があれば教えてください (リクルートSUUMO 「2011年住まいに関するカスタマー調査」)

 でもなぜ、大家さんはこんなにも容認してくれるのでしょうか? その背景には賃貸市場の空室問題があります。全国的にみると、実に2割が空室。入居率を高めようと、大家さんも管理会社もさまざまな取り組みをされています。

 ところで「ゼロゼロ物件」ってご存じでしょうか? 「敷金0、礼金0」の物件のことですが、年々増えています。地域によっては初期費用だけでなく、家賃の値下げも繰り返されています。ただこの競争を続けていくとリフォームの再投資費用が捻出できなくなることに。その結果、また家賃を下げる……といった負のスパイラルに陥るかもしれません。

 こうした連鎖を脱するために、大家さん側は「入居者のニーズにあった改装をしていかねば」という意識はあるようです。ただ大家さんは高齢の方が多く、入居者のメインである20〜30代のニーズはよく分かりません。彼らのニーズに沿ったカスタマイズは、大家さんの理にも適っているように見えます。

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