はてなダイアリーの片隅でさまざまな話題をちょっと違った視点から扱う匿名ブロガー“ちきりん”さん。政治や経済から、社会、芸能まで鋭い分析眼で読み解く“ちきりんワールド”をご堪能ください。
※本記事は、「Chikirinの日記」において、2010年7月28日に掲載されたエントリーを再構成したコラムです。
人間も会社も家族もコミュニティも、ビジネスもボランティア団体も国も軍隊も、持てば持つほど動けなくなります。現代の資本主義社会において、「持たずに生きる」ことがこれほどに難しいと痛感したのは、数年前に「持たない生活」を目指すようになってからです。
一緒に旅行に行く友人は、ちきりんがあまりに何も買わなくなったので驚愕しています。私を含め多くの人にとってモノを買う行為は有効なストレス解消方法だし、何かを所有したいという欲望は強弱の差こそあれ、持たない人はいないくらいの自然な欲求です。
何も持たずに生まれてきたように、もう一度、何も持たない生活に戻りたいと思っても、それは相当のエネルギーを注ぎ込まないと実現できません。それどころかぼーっとしていると、いつの間にか前ではなく後ろに進んでいたりします。
時々、18歳で一人暮らしを始めた部屋を思い出します。学生街の6畳一間のアパートは、荷物も本当に少なかった。それでも特に何も困った記憶もない。多くの人も同じでしょ。今、部屋の中を見回して、何でこんな多くのものがあるのか、理解ができない人は私だけではないはずです。
生活費も同じ。会社を辞めるにあたって、生活を維持するのにいくらかかるのか計算してみました。驚いたのは固定費の高さです。固定費とは一口も食べなくても必要な経費、毎月決まって払わなくてはならない費用のことです。
これ、子どもとかいる人はもう怖いから計算しない方がいいですよ、っていうくらい高い。別にお金持ちでもなく、特にぜいたくしている人でもなく、ごくごく普通に働いて、ごくごく普通に生活している人でも、一度真面目に計算したら、その固定費の高さに驚くんじゃないかと思います。
ちなみにここで固定費と呼んでいるのは、次のようなもの。みなさん、電卓取り出して計算してみてくださいな。
食費、雑費、交際費、衣服代、書籍代、旅行代、交通費、ガソリン代などは変動費としています。
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