本当にできないの? 鉄道ファンが笑う、大阪の新ルート杉山淳一の時事日想(3/5 ページ)

» 2012年07月06日 08時01分 公開
[杉山淳一,Business Media 誠]

構想では4線軌条化、新型の小型電車を開発

 それなら、地下鉄四つ橋線を3線軌条とし、架線を設置してやればいい。となるわけだが、3線ではうまくいかない。サードレール方式は地上に高圧電流を流す。もしホームから乗客が落ち、サードレールに触れたら感電してしまう。そこで、サードレール方式の場合、「ホームの真下にサードレールを置かない」という安全策を実施する。

 サードレール方式の路線では、電車に対してホームの位置が左右に切り替わる時は、サードレールの位置も変わる。昔の地下鉄は、ときどき車内が真っ暗になった。これがサードレールの切り替え地点だった(30代以下の人は見たことがないと思うが……)。

 サードレール方式で3線軌条とした場合、軌間の狭い電車は、ホームの位置によって電車とホームの間が広くなったり狭くなったりして一定にならない。電車を常にホーム側に寄せるためには、3線軌条の並び順を変える必要がある。そのたびに小さな分岐器が必要だ。これは面倒だしメンテナンスも大変だ。そこで、大阪府市統合本部の案では、3線軌条ではなく4線軌条とした。これなら、軌間の違う車両でも中心線が一致するので、左右のホームに最適な位置を保てる。

 この4線軌条について、日本には営業路線はない。過去に北海道で、国鉄の線路に軽便鉄道の線路を組み込んだ例があるようだ。現存する4線軌条は近鉄の橿原神宮前駅構内にある。近鉄には1435ミリメートルの路線と1067ミリメートルの路線があって、検査工場へ回送する電車の台車を履き替えるために設置されている。ほんのわずかな区間で営業用ではない。

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