中国で接客サービスが向上している、その理由は?ローソンの海外物語(中国編)(3/4 ページ)

» 2012年07月25日 08時01分 公開
[ローソン海外事業研究部,Business Media 誠]

グループワークからプロのサービスマンに

 かつてないほどの危機感を覚えたローソンは、サービスをイチから徹底的に見直すことに。まず「人財育成」で巻き返しを図ることにしました。

 そこで、ローソンはマニュアル作りから着手。日本の本部で使用しているモノをそのまま翻訳するのではなく、中国の担当者と現地の事情に合わせた中国版に作り変えました。さらに、全社員を対象にした5日間の「研修プログラム」を導入。研修は、9時〜18時までと、嫌になるぐらいの長時間です。

 研修の初日は、「ホスピタリティ」について。「どんな態度でお客さまに接するのか?」「お客さまに喜んでいただくためには?」などを教えていきました。これは日本でも基本中の基本。しかし、ただ言葉で説明するだけでは本当のサービスは身に付きません。

 「本当のサービス業になってもらいたい」――。

 そう考えたローソンは「グループワーク」を取り入れました。自分自身が経験した嫌なこと、自分がお客さまの立場だったらなど、ディスカッションをしてもらうスタイルに。意見を交換し合うことで相手の気持ちを理解してもらい、実際の店舗で生かしてもらおうとしたのです。

サービス向上のために、グループワークを導入した

 このほか「身だしなみ」「チームワークの強化」「コミュニケーションスキルのアップ」など、マニュアルだけでは伝えきれない“サービスの心得”を伝えていきました。

 研修の最後には、受講者に「3〜5年後の自分のビジョン」について発表してもらいました。最初は戸惑った人もいましたが、最終日には、それぞれが自分の言葉で夢を語るように。

 例えば、国営企業時代から働いている年配の女性は「自分の孫にローソンで働いていたことを自慢できるようになりたい!」と熱く自分の将来を語りました。これまでのように「お金をもらって働くことができれば、それで良い」と考えていた時代からすれば、大きく成長したのではないでしょうか。

 中国には上昇志向が高く、キャリアアップのため努力している方がたくさんいます。そのため自分の意見をしっかり持ち、グループワークに励んでいます。こうして、お客さまという概念も少しずつ理解してもらえるようになりました。やはりサービス(接客)には、Heartが大切ですね。

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