また尖閣諸島にやって来る? 10月に人民解放軍窪田順生の時事日想(2/3 ページ)

» 2012年08月21日 08時30分 公開
[窪田順生,Business Media 誠]

反日デモや活動家の上陸を軍事闘争に利用

 要するに、むこうは活動家の上陸も反日デモも、きっちりと軍事闘争に利用するわけだ。

 例えば、石原慎太郎東京都知事が尖閣諸島を買うと公表した6月、香港の「世界華人保釣連盟」※が動き出すのを察知すると、中国人民解放軍(中国共産党の軍事部門)の羅援(らえん)少将もちゃんと香港のテレビ番組に出演し、以下のような戦略を明かした。

※尖閣諸島(中国名・釣魚島)の領有権を主張する中国や台湾、香港、マカオなどの民間団体でつくる組織。

(1)釣魚島を中国の行政区域「釣魚島町」とする。

(2)領海を法律で制定し、全人代で宣言する。

(3)釣魚島でミサイル発射実験を行う。また、軍事演習を実施する。

(4)国家海洋警衛隊を設置し、釣魚島と近海の警護にあたる。

(5)釣魚島で、石油採掘、漁業、観光などの事業を行う。

(6)南沙諸島と尖閣諸島の領有を、世界に対してアピールする。

 世界華人保釣連盟は10月にも再上陸を計画しているという。無理もない。日本の海上保安庁が投石をしようが、自分たちに何も手出しができないことがよく分かった今、もう一度行かない理由はない。そのどさくさに紛れて、人民解放軍も尖閣にやってきてそのまま居座ってしまうのではないか、と心配をする声があがっている。

 羅援少将が『孫子の兵法』をひきあいに、メディアに対してこんなことをいったからだ。

 上兵は謀を伐つ。その次は交を伐つ。その次は兵を伐つ。その下は城を攻む(最上の策は、敵の陰謀を未然に防ぐことであり、その次は敵の外交関係を潰すことであり、その次は敵の軍を破ることであり、下策は城を攻めることである)。

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