成熟市場に「10秒のコーヒー」はササるのか キーコーヒーが4年かけて見つけた“速さ”の価値「次の駅まで」に読めるハナシ(1/3 ページ)

» 2026年02月09日 07時00分 公開
[土肥義則ITmedia]

 コーヒーは、時間をかけてゆっくり淹(い)れるもの――。そんな常識に、一石を投じる商品が登場した。キーコーヒーの「KEY DOORS+ JET BREW」(以下、ジェットブリュー。希望小売価格602円)だ。

2025年9月に登場した、キーコーヒーの「JET BREW」(出典:キーコーヒー、以下同)

 最大の特徴は、とにかく「速い」こと。ドリップコーヒーといえば、お湯を細かく注ぎ、香りを立たせ、待ち時間を楽しむもの。「あえて手間をかける行為に価値がある」と考える人も多い。

 スーパーなどで販売している簡易型のドリップバッグでも、できあがるまで2〜3分ほどかかる。しかし、である。ジェットブリューを使えば、最短「10秒」で抽出できるのだ。コップにセットし、お湯を注いで、上下に振る。ドリップのように、お湯を細かく落とす必要もなく、数分待つこともない。

 「え、特徴はそれだけ? うーん、2〜3分くらい待てるよ」といった人もいるだろうが、ドリップバッグ市場の現状を踏まえると、小さな変化をもたらしそうな“香り”が漂うのだ。

 インテージSRI+の調査によると、ドリップバッグ市場は2020年からほぼ横ばい。伸びていないということは、裏を返せば、日常の中に定着しているとも言える。出勤前のビジネスパーソンや仕事の合間などに「淹れるのに、失敗はしたくない。そこそこおいしいコーヒーで十分」という人は、確実に存在する。

3月に「エチオピア モカ」を発売

 そんな成熟市場に、なぜキーコーヒーは新商品を投入したのか。理由のひとつに、利用者の「不満」があった。同社が利用者を調査したところ「粉が飛び散る」「お湯があふれる」といった声が集まった。ちょっと地味だが、やっかいな点である。

 そこで「紅茶のティーバッグのようにすればいいのでは」という発想が生まれた。ところが、コーヒーではそう簡単にはいかない。最大の壁は、「粉」が沈まないことだった。

 コーヒーの粉は軽く、お湯に浮きやすい。浮いてしまえば、粉とお湯が十分に接触せず、味がどうしても薄くなる。こうした問題に対して、キーコーヒーはどのような手を打ったのか。

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