“同調”がお互いの絆を深める(1/2 ページ)

» 2012年09月07日 08時00分 公開
[松尾順,INSIGHT NOW!]
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著者プロフィール:松尾順(まつお・じゅん)

早稲田大学商学部卒業、旅行会社の営業(添乗員兼)に始まり、リサーチ会社、シンクタンク、広告会社、ネットベンチャー、システム開発会社などを経験。2001年、(有)シャープマインド設立。現在、「マインドリーディング」というコンセプトの元、マーケティングと心理学の融合に取り組んでいる。また、熊本大学大学院(修士課程)にて、「インストラクショナルデザイン」を研究中。


 動物には、単独で行動するものと、群れを作って行動するものがいますね。どちらも、厳しい環境に適応してきた進化の結果としての行動パターンであり、どちらの方が優れている・劣っているといったものではありません。

 それで、群れで行動する動物たちは集団で生活し、助け合った方が生き残りに好ましいということでそうしているわけです。

 例えば、集団で飛ぶ渡り鳥たちは、最も風を受け、エネルギーを消耗しやすい先頭の役割を交替でこなしています。そうすることで、目的地に確実に行くことが可能になります。また、天敵の大魚に狙われたいわしの群れは、全体としてまとまり、巨大な球状の固まりとなることで、大魚を圧倒しようとします。

 さて、このようにお互いに助け合うことで生き残りを図る「運命共同体」における個体(個々人)は「他者と同調すること」が基本的な行動となっています。「同調」とは、文字通り相手の動きを真似したりして同じ行動を取ることです。同じ行動が取れるからこそ、いざという時、力を合わせて外敵に立ち向かったりすることができる。すなわち、「同調」は、お互いを助け合うことにつながっている。従って、「同調しあうこと」はお互いの関係性=「絆」を深めることにも役立っているのです。

 私たち人間も、小さいころから「同調すること」を自然に学び、それを喜びと感じるようになっています。例えば、親と子供、あるいは友だち同士で、リズムに合わせてお互いの手を打ち合わせる素朴な遊びは世界のあらゆる地域で見られるもの。

 また、恋人たちは、一緒に散歩し、一緒にご飯を食べ、同じ映画を見て一緒に泣き、あるいは笑い、また一緒に踊ったりといった「同調行動」を通じて「絆」を深めていきます。ですから、逆に言えば、自分に対する相手の好感度を高め、双方の関係性を深めたければ、積極的に相手に同調しようとすることが大切なのです。

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