三江線のバス増発社会実験は、「三江線改良利用促進期成同盟会」(同盟会)と「三江線活性化協議会」(協議会)、そしてJR西日本が実施する。同盟会は沿線の3つの市と3つの町が参加し、これに住民代表や島根県、島根県立大学、JR西日本米子支社などを加えて協議会が結成された。
社会実験の内容は、三江線の利用者や沿線の人々へのアンケート結果を元に、三江線の運行本数をほぼ倍にするという。ただし、全区間万遍なくではなく、江津側と三次側は倍増で、中間は少ない。また、利用見込みに合わせて中型バス、小型バス、ジャンボタクシーを使い分ける。運賃はJRのきっぷと同額となり、他の路線からの乗り継ぎでもバスを利用できる。
三江線の利用を促進するなら、列車を増発して実験すればいい。しかし、そうできない理由がある。三江線にはすれ違い設備が少ないため、アンケートの希望通りに増発列車を設定することはできない。
現在の三江線のダイヤに、増発バスの時刻を重ねてみるとよく分かる。このダイヤを実現するには、川戸駅・川平駅・田津駅・鹿賀駅などにすれ違い設備が必要だ。しかし実際にはこれらの駅にはすれ違い設備がない。
もし増発実験で成果があれば、すれ違い設備を作って列車を増発しよう、となるかといえば、そうとも言えない。今回の増発実験では、江津本町、川平、田津、石見川越、因原、木路原、明塚、石見都賀、江平、作木口の10駅で、駅から離れた場所に停留所を作る。つまり、川向うの集落側にバスが停まり、鉄道駅まで行かない。もっとも、行く必要もない。
また、バス停と駅が一致したとしても、三江線の宇都井駅のホームは地上から30メートルの高さにあり、階段しかない。ユニークな駅として鉄道ファンの話題になるけれど、利用者としては不便である。地上にバス停があれば、116段の階段(30メートル)を上下するよりも、バスのほうが楽だ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR注目記事ランキング