ロボット化が進めば、中間層はどうなるのか佐々木俊尚×松井博 グローバル化と幸福の怪しい関係(8)(2/4 ページ)

» 2012年09月25日 14時11分 公開
[土肥義則,Business Media 誠]
佐々木俊尚さん

佐々木:新聞社では、ロボットができるような仕事をやっているんですよ。決算発表の数字を右から左に丸写しをしたり、スポーツの結果を書くだけだったり。いわゆる通信社電みたいな。それをロボットに任せたら、今の記者数の10分の1くらいで済むと思いますよ。

 「人間がロボットに支配される」という話が昔はよくありましたが、そうではなくてロボットが人間に置き換わってしまう。そしてロボットに仕事を奪われた人間は、どのようにして生きていけばいいのか……。

松井:何をすればいいのかなあ、と思ってしまいますよね。

中国の経済力

松井:あと人口予測も面白くて、世界の人口は92億人くらいになるといった予測があります。90億人くらいがピークでその後は減っていく、85億人くらいで止まるだろうといった意見もある。人口が減ってどうなるかというと、減ったからといってエネルギー消費が減るわけではなくて、そのときには贅沢な人が増えているのでエネルギー消費は増えるといった見方があります。

佐々木:穀物でなくて肉を食べるようになるというわけですね。

松井:はい。

佐々木:先進国では20世紀前半に工業化が終わり、今は新興国での工業化がようやく終わりつつある。中国はそろそろ終わりなので、人件費が上がる可能性が高い。それが今、東南アジアや南アメリカなどに行っていて、最終的にアフリカに行くでしょう。アフリカの工業化が終われば、人口は減るのではないでしょうか。

松井:中国の労働環境はかなり改善されましたが、今でも部品などを盗んで、それをつかってニセモノをつくるビジネスがあります。工場としては困ったことですが、「中国人ってしたたかだなあ」と感心してしまいます。

佐々木:中国のポテンシャルってやはりすごいですね。18世紀までは世界最大の工業国だったというのは有名な話で、沈没していたのは清の末期からだけ。それ以外は世界最大の帝国だったわけですからね。

 いったんバブル経済がはじけ、沈む可能性はありますが……。ただどんどん巨大化して、日本が経済的に飲み込まれてしまのではないか、と危惧しています。

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