ロボット化が進めば、中間層はどうなるのか佐々木俊尚×松井博 グローバル化と幸福の怪しい関係(8)(4/4 ページ)

» 2012年09月25日 14時11分 公開
[土肥義則,Business Media 誠]
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佐々木:たぶんそれくらいしか、現実的にはできなくなるんじゃないかと思いますね。これまでのような産業振興や市場コントロールはできなくなるでしょう。経済政策などは成り立たなくなっていくのではないでしょうか。

松井:あと、年金や社会保障の問題がありますよね。

佐々木:維持できなくなりますよ。既に、日本の年金は崩壊していますから。

松井:米国はまだ人口が増えているので救いがあるのですが、長くはもたないだろうなあと思っています。

 そうなればどうすればいいかというと、あまりやることがないんですよね。

佐々木:生活を守るっていうことに関しては、教条的な概念で、自分とその仲間でコミュニティーを作っていくしかない。

松井:私はずっと都会で育ったので、コミュニティーと言われてもあまり想像できません。だからコミュニティーなんて必要ないと思う一方で、新興宗教の台頭を見ていると必要なんだろうなあとは思っています。

佐々木:「薄く広くつながっていくこと」が大切になってきているのではないでしょうか。強い村の若衆宿みたいな、同じ釜の飯を食うみたいなものじゃなくて、お互いのことが分かるよねみたいな感じに。このように繋がっていくということが、今後のセイフティネットになるかなと思っています。

松井:なるほど。

佐々木:「あの人なら知っているかもしれないから、ちょっと聞いてみよう」といった感じで。こうしたネットワークは広がっていくでしょう。

(つづく)

2人のプロフィール

佐々木俊尚(ささき・としなお)

作家・ジャーナリスト。

1961年兵庫県生まれ。愛知県立岡崎高校卒、早稲田大政経学部政治学科中退。毎日新聞社、月刊アスキー編集部を経て2003年に独立し、IT・メディア分野を中心に取材・執筆している。『「当事者」の時代』(光文社新書)『キュレーションの時代』(ちくま新書)『電子書籍の衝撃』(ディスカヴァー21)など著書多数。総務省情報通信審議会新事業創出戦略委員会委員、情報通信白書編集委員。

松井博(まつい・ひろし)

神奈川県出身。沖電気工業株式会社、アップルジャパン株式会社を経て、2002年に米国アップル本社の開発本部に移籍。iPodやマッキントッシュなどのハードウエア製品の品質保証部のシニアマネージャーとして勤務。2009年に同社退職。ブログ「まつひろのガレージライフ」が好評を博し、著書『僕がアップルで学んだこと』(アスキー新書)を出版。現在は2冊目の『私設帝国の時代』(仮題)を執筆中。twitterアカウントは「@Matsuhiro


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