“地獄の一丁目”にいるのは誰か――ヤミ金が増えている「弱者」はなぜ救われないのか(5)(4/5 ページ)

» 2012年09月26日 00時00分 公開
[増原義剛,Business Media 誠]

ヤミ金にとっておいしい客とは

 さて最近は、ヤミ金にとってどんな客がおいしい客なのか。今度はヤミ金側から客層を見てみよう。

 元ヤミ金が言うには「ヤミ金にとり、もっともいい客は主婦」だという。ここは前出の高田氏の証言にピタリと重なるところだ。

 つまり主婦は証明、連絡先をきちっと取ってしまえばどこにも逃げも隠れもできないからだ。夫に内緒で借りていることが多いので、逃げれば業者は必ず夫の職場や親に電話をするぞ、と言い、慎重な業者は近所の氏名や電話番号まで情報を得て貸す。主婦側も、それを最初に念を押されているし熟知しているので「それは絶対に避けたい」と苦しくても他からやりくりして返済してくるという。だから風俗で勝負に出る主婦さえ出てくるのだ。

 貸す金額はなるべく10万円まで。ここから先は業者にとっても不良債権になると恐いので、できるだけ貸し渋るのだという。でも、ベストのおいしい金額は主婦層に1万5000円とか2万円を貸し3割、5割の利子を取るパターンだという。この辺も高田氏、元警察関係者などの証言と完全に一致する。

 「仮に回収不可能になっても深手にはならず、しかし確実に利子が膨らめば2倍回収でき、そして数が多ければ確実に儲かるからだ」(元ヤミ金業者)。

 それと私が会った一部の元ヤミ金関係者をみてもそうだが、昔のように、いかついパンチパーマ姿でガンガン脅せばいいというタイプは少ない。ソフトな対応で主婦らがすんなりと入り口から入りやすい環境も必要なのだろう。

 さらに、新たな手口で最近、盛んに話題になるのは「クレジットカードの現金化」だ。

 2011年11月26日の一部全国紙の都内版に掲載された小さなベタ記事が全国の警察関係者、弁護士関係者、さらには金融関係者の間で大きな注目を受けた。その記事にはこう記されていた。

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