“地獄の一丁目”にいるのは誰か――ヤミ金が増えている「弱者」はなぜ救われないのか(5)(5/5 ページ)

» 2012年09月26日 00時00分 公開
[増原義剛,Business Media 誠]
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 「現金が欲しい客にクレジットカードで商品を買わせ、購入代金の一部を返金する『カード現金化』で違法な高金利の貸し付けをしたとして、出資法違反罪などに問われた(東京都内)板橋区の飲食店経営、H(記事では実名)被告=42=に地裁立川支部は25日、懲役3年、執行猶予5年、罰金2000万円の判決を言い渡した。深見玲子裁判官は判決理由で『高金利を承知で借金をせざるを得ない経済的弱者を、さらなる困難に陥れた悪質な犯行』と指摘。(略)判決によるとH被告は昨年3月?今年1月、現金化を申し込んだ客4人に、ネックレスなどの商品を購入させ、代金の一部を『キャッシャバック金』として返金。カードの決済代行会社からの立て替え払いを自分の銀行口座で受け取り、差額の計約70万円を違法な利息として得た」(毎日新聞)

 H被告は用意周到にこれら犯行を行ったのか。

 「彼は飲食業を営むかたわら、いくつものヤミ金を経営していた。特にこの『キャッシュバック型』については悪いという認識もなく合法的と思っていたらしく、逮捕後『捕まるとは思っていなかった』と供述したという」(警視庁担当記者)。

 A子やB子のような借りるほうも、H被告のような貸すほうも、最初は、そんなに深刻に考えもせず、気軽にヤミ金に手をだしている。その「気軽さ」が恐い。

 いずれにしても、まさに小口で生活費に困ったごくごく当たり前の主婦や庶民が地獄の一丁目の入り口にたたずんでいるのは間違いない。

つづく

著者プロフィール:

増原義剛(ますはら・よしたけ)

1969年東大法学部卒業 大蔵省(現財務省)に入省。東海財務局長を経て退官。2000年衆議院議員に初当選(2009年まで3回当選)。以後、自由民主党においては税制調査会幹事、財務金融部会長代理、金融調査会小委員長等、政府においては総務大臣政務官、内閣府副大臣の要職を務める。2006年には、自民党政務調査会・金融調査会「貸金業制度等に関する小委員会」の委員長として、改正貸金業法の立法に携わった。現在は広島経済大学教授。


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