映画『TIGER & BUNNY』プロデューサーが語る、仕事を成功に導く方法窪田順生の時事日想(1/3 ページ)

» 2012年10月02日 08時00分 公開
[窪田順生,Business Media 誠]

『TIGER & BUNNY』とは:

 MBS、TOKYO MXなどで放送されたヒーローアクションアニメ。ヒーローが「正社員」として企業に属し、スポンサーロゴの入ったスーツで戦うという斬新な設定や、ストーリーの面白さから多くのファンを獲得。ユーストリームと同時放送などユニークなプロモーションで話題を集め、9月22日より映画化第一作目が上映している。

尾崎雅之氏のプロフィール:

 株式会社サンライズ 取締役。キャラクターワークス事業部 海外営業部 部長。2003年まで、ギャガ・コミュニケーションズでハリウッド映画の買付業務、国内での配給・宣伝に携わる。2004年サンライズに入社後、劇場版「機動戦士Zガンダム 3部作」「ケロロ軍曹」「犬夜叉 完結編」「劇場版 銀魂」「TIGER & BUNNY」という人気作品を手掛ける。


 アニメ放映時から人気を博していた『TIGER & BUNNY』。エグゼクティブプロデューサーの尾崎雅之氏は企画段階から数年の時間をかけ、他のエンタメ作品などの研究を重ね、アニメファン以外の人、例えばサラリーマンでも共感できるような「普遍性」をもつことに留意したという。前回は製作時の秘話から、前代未聞の初日公開イベントまでのことを語ってもらった。今回は、ピジネスパーソンとしてビジネスの進め方や仕事における哲学について話してもらう。

SNSやネット動画を活用

現在公開中の『劇場版 TIGER & BUNNY -The Beginning-』

――『TIGER & BUNNY』ではプロモーションにTwitterやUstreamなどをかなり活用していますね。

尾崎:テレビの視聴スタイルの変化を受けての施策です。かつては一家団らんが成立していましたが、この数年来“いつでもどこでも”ひとりで自分だけの視聴環境で楽しむスタイルが主流となってきました。でも、“いまここで”みんなで楽しむ視聴スタイルの潜在需要はあるんじゃないかと。それに「共有したい」という意識は普遍的ですよね。面白いものがあったら職場で同僚に言いたいし、恋人に言いたいし、友だちにも自慢したい。

 『TIGER & BUNNY』という作品はプレイスメントがあって、ヒーローが広告を入れている相当奇妙な作品ですよ。“ヘン”は人に言いたい。そしてみんなでつながりたい。それを実現化できる手段というのが、TwitterやUstreamだったというわけです。

――TwitterなどのSNSによってプロデューサーという仕事に何か変化はありましたか?

尾崎:お客さんとの距離が近づくので、生の声がゲットしやすくなりました。誰でも発信できるという点では、従来の作り手・送り手の立脚点を危うくするという議論もありますが、プロアマ混在の流れは止められないと思います。ならば前向きにとらえて活用していく方がベターかなと。

 Twitterは機動的な発信ができるという点ですごくプラスな面を持っています。サービスを検討・判断するうえでの1つの材料が素早く手軽に得られるという点も大きい。その一方で、即時性・双方向性という意味では、使い方を誤ると怖い技術ではあります。僕もこの1年半でそれなりに学習しました。

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