映画『TIGER & BUNNY』プロデューサーが語る、仕事を成功に導く方法窪田順生の時事日想(2/3 ページ)

» 2012年10月02日 08時00分 公開
[窪田順生,Business Media 誠]

アイディアを生み出すコツ

アニメプロデューサーの尾崎雅之氏

――アイディアを生み出すコツはありますか?

尾崎:まず、「それ無理だよね」という先入観をとっぱらって、自分自身で面白いと思えるかどうか、ワクワクできるかどうかのファン目線をキープすることが大切だと思っています。それと、思いついたことはメモする以外にも自分にメールを送ります。そんな“アイディアメール”を貯めていくと、他人から言われたみたいでまた別の見方ができますから。

――「プロデューサー」という仕事には何が必要でしょうか?

尾崎:ちょっと抽象的な言い方で恐縮ですが、“変化できるか”ということが重要だと思います。僕にも、こうありたいという理想像があるんですけど、やっているうちに変わっていく。それでいいと思います。

 どんなビジネスでも外的要因がありますよね。だから、状況や環境の変化に応じて自分自身も変えていく。プロデューサーとして生き残っていくために持っている武器が、明日にはもう武器じゃないという場合もある。そんな時代ですから、嗅覚も必要なんでしょう。ただ、だからといって感覚的なものやフットワークがいいだけではダメだとも思います。難しいですけど、こだわりをもちつつ柔軟性ももつ。それが理想でしょうね。

――目標とするプロデューサーは?

尾崎:エンタメだけに限らずということで言えば、僕にとって印象深いのは、阪急東宝グループの創業者の小林一三氏(1873〜1957年)ですね。なにもない野原を開拓するために、まず線路をひく。鉄道を通したら住宅地をつくって、住宅ローンの仕組みを整える。人が集まるので娯楽施設をつくる……このように都市ごとプロデュースをするというのは、小林氏が生み出したスタイルです。

 「東宝」や「宝塚」を興すなど日本のエンターテインメント業界にも偉大な足跡を残した方ですが、なによりもこのような発想のダイナミックさにすごく刺激を受けました。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.