イニシアチブ・パートナーズ代表。京都大学教育学部卒業後、1988年にリクルートコスモス(現コスモスイニシア)入社。人事部門で組織人事・制度設計・労務管理・採用・教育研修などに携わったのち、経営企画室で広報(メディア対応・IR)および経営企画を担当。2003年より株式会社マングローブ取締役・関西支社長。2010年1月にイニシアチブ・パートナーズを設立。ブログ「関西の人事コンサルタントのブログ」
私は、高齢者のライフスタイルについて研究・創造・提言しているNPO法人「老いの工学研究所」に、研究員という立場で関わっています。先日、この研究所が約300人の高齢者を対象として調査を行い、「延命治療と希望余命」について発表しました(ちなみに“希望余命”とは「あと何年生きたいか」という考え方で、用語も当研究所独自のものです)。
それによると、「もし、心身の自立性が失われた場合、医療機器・医療行為による延命を望みますか?」という質問に「はい」と回答した人は男性で3.6%、女性で2.3%、全体では2.8%にとどまりました。
また、「ご自分の寿命として、何歳くらいを望んでいますか?」という質問に対する回答から、現在の回答者の年齢を引いた年数を「希望余命」とし、これを「平均余命」と比較した結果は、特に女性では、希望余命が平均余命を各年代で下回りました。
大雑把にまとめれば、ほとんどの高齢者は医療によって無理に生きさせられるような最期を望んでいないということです。しかし、現実はそうではなく、平均寿命と健康寿命の差はじりじりと広がるばかり。本人の希望がそうなのであれば、家族の負担や社会保障の問題を考えても、このような状況を放置すべきでないのは明らかです。
そしてその解決策は意思や判断力のある間に、自分自身でどのような死を選ぶかを決めることでしょう。現状では自分の意思と死に方があまりにも違っており、それを長寿と呼んで幸せのように扱うのはおかしいと思うわけです。
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