あなたは、就活生の間で噂の「美人事」を知っていますか?サカタカツミ「就活・転職のフシギ発見!」(2/3 ページ)

» 2012年10月22日 08時00分 公開
[サカタカツミ,Business Media 誠]

美人事は容姿のことだけではない……とはいうものの

 そもそも、企業が「ウチは美人かそうじゃないかを採用の基準にしています」と容姿を選考基準に持ち出した瞬間、世間の非難が殺到するでしょう。最近はまた盛り返し始めていますが、一時期は大学のミスコンも非難囂々で、風前の灯だったわけですから。「企業が採用に美人という概念を持ち出してくるなんて、とんでもない!」と怒る人がいても不思議ではありません。

 実際に美人事を自任する人に聞いてみると「本来、美人事とは、別に容姿のことだけではありません。仕事もできて、心も美しい、そして美しさにも気を配っているということがウリです」ということですので、別に容姿だけが重要で、美人の人事だったら美人事、と言っているわけでもないのです。ただ、言葉の印象が強過ぎて、そういう主旨はなかなか伝わりにくいですよね。

 結果的に、本来の主旨と離れた言葉のイメージだけが先行してしまい、まるで合コンのような会社説明会を開く人たちの「エサ」として、美人事という言葉が踊っている……そういう側面があることは否めません。実際、美人事が開催する会社説明会の参加者の声を見ると「噂に違わず、とてもおきれいで癒されました」といったコメントが寄せられているのを見かけますから、当の本人たちがいくら「そういう意図はないんです」と声を大にして伝えたところで、どうしても嘘っぽく聞こえてしまいます。さらに最近では、(女性に免疫のない学生が多いであろう)理系男子をターゲットにした美人事も増えていて、さらに始末が悪いのです。

「採用王子」や「採用の虎」「採用の鬼」もいる!

 美人事のことばかり書きましたが、実は美人だけではないのです。新卒採用には、採用王子と呼ばれている人や、採用の虎を豪語する人、採用の神様を自任する人や、採用の鬼として恐れられている人もいるのです。これらの多くは現役の採用担当者です。そう、これを読んでいるあなたの会社の人事部にいる新卒採用をしている彼は、実は王子だったり神様だったり、虎だったり鬼だったりするのです。気になる人がいたら、本人に聞いてみるといいでしょう。きっと口ごもるでしょうけど。彼らの多くは、会社の中で公言しているわけではありません。しかし知っている人は少なくない。

 実は、新卒採用の担当者は企業の枠を超えて集まるのが好きです。お互いで勉強会もよく開催しています。就活の情報を提供するサイトや、企業の採用活動を支援するアウトソーサーが開催するイベントなどでも、よく顔を合わせています。なので、多くの人が顔見知りなのです。そうして、多くの人が仲良くなるうちに、いつの間にか王子と呼ばれたり、虎が吠えているみたいですねと言われ、採用の虎を自任したりするようになる。あくまで「就活」という枠の中での話なので、自社の社員は知るところまで至らないですし、知られると恥ずかしいという人もいるはずです。

 虎や鬼と豪語している人は、就活サイトが提供しているブログなどでも、一生懸命持論を書きます。新卒採用はこうあるべきだ、君たち学生はこう考えるべきで、こんな風に行動すべきだと。それはとても熱く、虎や鬼だといわれるだけあって、辛口の言葉も少なくない。ただ、私の連載を読んでいる人ならピンと来たと思うのですが、彼らの行動の多くは結果的に「就活好きの就活生」を産み出してしまっている「就活生が好きで、支援している人たち(参照記事)のそれととても似ています。しかも、自社の採用活動の一環として行っている分、単純な就活生好きよりも、問題の根は深くなります。

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