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» 2012年10月23日 08時00分 公開

アニメビジネスの今・アニメ空洞化論その1:海外への外注増加で日本アニメは空洞化するか? (2/4)

[増田弘道,Business Media 誠]

日本アニメ支持率が圧倒的に高いタイ

 次図はタイの「人気アニメ調査」だが、一見して分かる通り20〜59歳層(以下、大人層)、0〜12歳層(以下、子ども層)両方のベスト10のほとんどが日本製で、『仮面ライダー』を除いた残りがアニメとなっている。中でも『ドラえもん』が子ども層で85%、大人層でも82%と圧倒的な人気を誇っている。1983年から放映されているので来年で30周年を迎え、「国民的アニメ」と言ってもいいだろう。

タイ人気アニメ(左:20〜59歳、右:0〜12歳)

 自国製アニメがほとんどないせいもあるだろうが、恐らくタイがアジア諸国で日本アニメへの支持が最も高い国と思われる。「アニメが好きで日本語を習った」と言う若いタイ人の話をしばしば耳にするが、この状況を目にすると「なるほど」とうなずける。

 以上がタイのアニメ概況だが、もともとタイにはさほどアウトソーシングしていなかったこともあり、技術移転の兆候は見られない。従って、タイの現状を見る限り、日本の対抗馬とはなり得ていないと言えるだろう。

イスラムアニメがあるインドネシアとマレーシア

 インドネシアでは『ウピンとイピン』というイスラム文化を幼児に教えるための知育・情操アニメがトップとなっている。この作品はイスラム教徒の多いマレーシア製アニメ。インドネシア国民の4分の3以上がイスラム教徒で、タイにおける『ドラえもん』同様の国民的な支持を得ている。

 しかし、『ウピンとイピン』が日本からの技術移転で制作されたものかというと必ずしもそうではない。その根拠の1つが、インドネシアには日本のアニメ業界からのアウトソーシングがほとんどないということ。もう1つは、この作品がCGで制作されており、モーションキャプチャーの使い方などを含めて、米国の影響が大きいと思われるからだ。この『ウピンとイピン』人気については、日常生活にイスラム教が密着している側面が大きいこともあり、日本文化の影響は小さいと思われる。

 『ウピンとイピン』以外にランキングしているのは、『ミッキーマウス』『スポンジ・ボブ』『ドーラと一緒』が米国製、残りは『仮面ライダー』と日本製アニメである。タイほどではないがインドネシアでも日本アニメがかなり受け入れられていることが分かる。作品の制作国別で見ると、大人層で『ウピンとイピン』が82%、米国製が3作品でトータル71%、日本製が6作品で98%、子ども層で『ウピンとイピン』が63%、米国製が2作品でトータル87%、日本製が6作品で88%となっている。

インドネシア人気アニメ(左:20〜59歳、右:0〜12歳)

 『ウピンとイピン』を制作しているマレーシアの状況も、インドネシアと似ている。こちらは大人層、子ども層ともに『ドラえもん』がトップ、2位が『ウピンとイピン』という順番になっているが、そのほかのランキングはインドネシアとほぼ同じだ。

 タイと同じく、インドネシアやマレーシアでも技術移転によって対抗馬になっているという現象は見られないが、米国やそのCG技術の影響を受けた異文化(イスラム)アニメーションが強力なライバルとなっている実態はあるようだ。

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