「不要採用」とは何か――イマドキの就活は「厳選採用」でもないという話サカタカツミ「就活・転職のフシギ発見!」(2/3 ページ)

» 2012年10月29日 08時00分 公開
[サカタカツミ,Business Media 誠]

新卒採用は本当に難易度が上がっているのか

 では、本当に新卒採用の難易度は上がっているのでしょうか? アセスメント方法は複雑になり、難易度はある意味でうなぎ上り。就活生は対応できるかできないかで、たくさん内定が取れる学生とまったく取れない学生の二極化が進んでいるのは事実です。しかし、それとはまったく逆の方向に進化を遂げている採用方法があります。

(写真と本文は関係ありません)

 秋風が吹き出してから、いまごろの時期がピーク、そして、就活生が卒業するギリギリまでおこなわれる採用の多くは「応募のハードルが極端に低い採用」なのです。例えば、最も顕著な例は「不要応募」でしょう。予約不要、履歴書不要、リクルートスーツ不要、来ればかならず採用担当者が面接します、というのがうたい文句の募集です。就活生に最も優しい(誤字ではありません)採用方法といえるかもしれません。

 このスタイルの採用は、イベント的に開催されます。合同で行われる会社説明会をイメージしてもらえればいいでしょう。就活生がそこに来場する際には予約も要りません。フラッと来て気になる企業を見つけて、そこで話をすることが、ある意味での一次面接になります。たくさんの企業研究をして、何枚ものエントリーシートを書き、それぞれの企業の志望動機を考え、面接で話すことを練りに練り込んでも書類審査で落ち、一次面接で落ち……を繰り返していた就活生にしてみたら拍子抜けするような簡単さです。応募があれば「必ず面接する」というのをセールスポイントにしている募集が増えるのもこの時期。今まで何度書類を出しても面接に呼ばれたこともない就活生にしてみれば、「必ず面接が受けられる」というのは、とても重要なことなのです。

 実はこのスタイル、新卒採用に限ったことではありません。転職市場でも似たような採用スタイルをとる企業も少なくないのです。電車などで「転職フェアー」などの中吊り広告を見たことがある、という人も少なくないでしょう。あの類いのイベントのウリもやはり、「予約不要・スーツ不要・履歴書不要」であることが多いです。

 並んでいる企業名を見ても、別に採用困難企業と呼ばれるような、常時人が辞めてしまうので、いつも求人をしているというところばかりでもないのです。中には「え、こんな企業が?」というところもありますし、企業の認知度が低いために、なかなか人が採れない優良企業がこのスタイルを採用しているケースも少なくないのです。

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