そこに影を投げかけているのは巨大な龍、中国だ。その影が大きくなればなるほど近隣の不安は募る。国境を接し、同じ共産主義体制でありながら、ベトナムと中国の関係は良くない。同じく中国と国境を接するミャンマーは、中国との関係よりも「西側」との関係修復に努めている。こうした動きは、南シナ海に代表されるような中国の「帝国化」を警戒した動きだ。中国指導部がことあるごとに「中国は覇権を求めない」と言っても、周囲から見れば、その言葉を信じることはできないということだ。
そして中国は、先進国の失敗を受けて、自信を深めている。すでにG7は力を失い、これからの中心はG20だが、このグループは中国を除いて語ることができない。2008年9月のリーマンショック後、初めて開かれたG20首脳会議で、中国が4兆元(当時の換算で60兆円)の経済を支えるための財政支出を「公約」したときから、存在感が急激に高まった。
その中国を率いる7人あるいは9人の新しい最高指導部が、中国経済、企業、外交そして権益を左右する。経済力が急激に増したように、外交の舞台における存在感もこれから急激に高まるだろう。落日の日本がこの中国と伍していくためには、よほどの世界観や戦略がないと難しいかもしれない。政局読みに忙しい今の政治家にそれを期待することができるだろうか。イエスと答える人は決して多くはあるまい。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR注目記事ランキング