早稲田大学商学部卒業、旅行会社の営業(添乗員兼)に始まり、リサーチ会社、シンクタンク、広告会社、ネットベンチャー、システム開発会社などを経験。2001年、(有)シャープマインド設立。現在、「マインドリーディング」というコンセプトの元、マーケティングと心理学の融合に取り組んでいる。また、熊本大学大学院(修士課程)にて、「インストラクショナルデザイン」を研究中。
文具・オフィス家具メーカーのプラスが、2012年1月に発売した新しいハサミ「フィットカットカーブ」のシリーズ(3タイプ、全16アイテム)が好調な売れ行き。8カ月で異例の160万本を販売しています。
同社としては、「10年後のスタンダードとなる圧倒的ナンバー1商品を目指した」とのことですが、狙い通りスタンダードの地位を確保できそうな勢いです。
業務用の特殊なハサミはさておき、汎用的に使われるハサミは、百均でも買える、ありふれたコモディティの1つ。もはや技術革新の余地はそれほどなさそうですし、どれを買っても大差はないように思います。
そんな現状において、フットカットカーブは、どのような「インサイト」に基づいて開発されたのでしょうか?
販促会議(2012.12)の記事によれば、プラスでは家庭でのはさみの利用状況についてのアンケート調査を約2700人を対象に実施しました。
その結果、ハサミに対する要望として多かったのが、「切れ味」に関するものでした。具体的には以下のような要望です。
これらの要望、こう言っては失礼ですが、ごく平凡な要望ですよね。
ぱっと見の企業側の反応としては、長く使っていればどうしても切れ味が落ちてくるのは仕方ない。「買い換えるか、刃を研ぎ直すとかしてもらうしかないよねえ〜」みたいなところでしょうか。
しかし、プラスとしては、意外な結果だったようです。同社のハサミの「切れ味」には、自信を持っていたからです。
そこで、ヒアリング調査を実施して、利用実態を掘り下げたところ新たな発見が。
それは、紙以外の多様なもの、つまり、プラスチック、ビニール、ダンボール、布、観葉植物などを切ることにも使われていたこと。紙以外の比率はなんと92%でした。
確かに、家庭では1本のハサミでいろいろ切りますね。切る対象に合わせて、いちいち専用のハサミを用意しないものです。私も、観葉植物の剪定に普通のハサミを使っています。また、ビニールやダンボールとかだと、なかなかうまく切れなかったという体験が確かにあります。
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