相撲鉄道ではなく、相模鉄道をどうする? 路線には「戸籍」と「通称」がある杉山淳一の時事日想(3/4 ページ)

» 2012年11月30日 08時01分 公開
[杉山淳一,Business Media 誠]

相模鉄道の愛称が必要だ

 鉄道路線図や時刻表を見ると、通称がある路線とない路線がある。乗換案内に不都合のない路線は戸籍上の名のままだ。ただし、余計なお世話かもしれないが、将来的に気の利いた愛称が必要な路線がある。

 相模鉄道である。

 相模鉄道は現在、横浜を起点とし、海老名を終点とする「本線」と、途中の二俣川から分岐して湘南台に達する「いずみの線」がある。他社と相互直通しない独立路線であり、横浜駅からこの方面に向かう路線は他にない。だから略称の「相鉄」を冠した「相鉄本線」「相鉄いずみの線」ふたつまとめて「相鉄線」で問題ない。横浜駅や湘南台駅、海老名駅での他社からの乗換案内も「相鉄線」が主に使われている。

 ところが、相模鉄道は2015年に革命を迎える。西谷駅から新線を分岐し、東海道貨物線の羽沢駅(建設中・仮称)に接続。通称「新横須賀線」を経由して渋谷・新宿方面へ乗り入れる。さらに2019年には羽沢駅から東急東横線日吉駅に接続する新線も開通する。日吉駅では東横線と目黒線に乗り入れ、渋谷・目黒に達する。線路の構造上はそれぞれが乗り入れる地下鉄路線に直通できるし、直通できなくても同一ホームで乗換が可能だ。

相模鉄道・連絡新線・JR東日本・東急電鉄の相関図

 相模鉄道には申し訳ないけれど、関東の大手私鉄のなかではもっとも知名度が低い。関東の大手私鉄を挙げよというクイズを出せば、最後に名前が出るか出ないか。あるいは、大手私鉄とは知らない人もいるかもしれない。社長自ら「東京都心の人々には相撲(すもう)鉄道と呼ばれてしまうかも」と自嘲気味に語ったインタビュー記事もあった。

 しかし、相模鉄道は良い路線である。たった数回しか乗った経験のない私が言っても説得力はないけれど、車両は大型の20メートル級で最大10両編成と輸送力はたっぷり。回送・貨物線扱いの厚木線(2.2キロメートル)を除いて旅客線はすべて複線。急行は横浜から分岐駅の二俣川までノンストップ。最高時速100キロメートルでかっ飛ばす。いずみの線には慶應大藤沢キャンパスを経由して平塚駅へ延伸する計画があり、さらに相模線倉見駅は神奈川県などが東海道新幹線の新駅を誘致中で、そこへ乗り入れる計画もある。相模鉄道には夢がいっぱいだ。

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