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» 2013年01月04日 00時01分 UPDATE

博報堂・吉川昌孝のデータで読み解く日本人:日本が誇れるものってナニ? この20年を振り返る (2/4)

[吉川昌孝,Business Media 誠]

V字回復しつつある「治安」と「国民の才能」

 この20年は日本にとって不安が増加する時代でありました。そんな中でも、一度は落ち込んでしまいながら、徐々に回復をしつつある誇りが2つありました。それが「治安がよいこと」(「安全な暮らし」も同様の意味と考えられます)と「国民の勤勉さ・才能」です。

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 「治安がよいこと」は1994年(81.1%)に8割を超える非常に高い数値を示していましたが、その後急落。2006年には44.1%と実に37ポイントもダウン。しかしそこから徐々に盛り返し始め2012年には66.6%と最高値の8割強のレベルまで急激に回復しています。

 それとほぼ同じ動きを示しているのが「安全な暮らし」。調査時点は1996年からですが、「治安がよいこと」とほぼ同様の動きで、2006年に最低値39.9%を記録。最高値の1998年60.8%からこちらも20ポイント以上ダウン。その後盛り返し、2012年は56.1%と最高値の9割以上のレベルまで復活しています。

 原因の1つとしては、1990年代後半の青少年による凶悪事件報道の増加が考えられます。しかし最近ではそうした事件の増加が特に見られないことや、世界の状況と比較をした時に、日本の治安のよさを改めて人々が認識したのではないでしょうか。こうした理由から誇りとしての数値が徐々に上昇したと考えています。

 さらに「国民の勤勉さ・才能」ですが、1992年に最高値57.1%、最低は2000年の36.3%でこちらも20ポイント以上ダウン。その後は徐々に上昇し始め、2012年には49.3%まで回復しています。

 この理由もいろいろ考えられますが、2つの事実がそれに影響していると思います。1つはノーベル賞。日本人の才能の優秀さを感じさせるひとつの事実として考えてみました。2000年以降のノーベル賞の受賞者を見てみると、2000年1人、2001年1人、2002年2人、2008年3人、2010年2人、2012年1人で計10人。1949年から1999年までの50年では8人だったことを勘案すると、2000年以降は“受賞ラッシュ”と呼んでもいい状況です。

 もう1つの事実がオリンピックのメダル数です。戦後オリンピックの金メダル獲得は1964年東京オリンピックの16個が最高でしたが、2004年のアテネオリンピックでは同じ金メダル16個、しかも金銀銅の3つを合わせるとメダル数37個と今年のロンドンオリンピックの38個に次ぐ数字を達成しています。ノーベル賞やオリンピックなど世界の舞台での日本人の活躍が目立っているのは、実は2000年代からこれまでなのです。こうした事実が日本の誇りとして「国民の勤勉さ・才能」をV字回復させたのではないでしょうか。

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