浜松:最初の商品コンセプトは「かゆくないけど、かゆみが起こらないような薬をつくりたい――」でした。
土肥:ん? 何を言っているのかよく分かりません(苦笑)。
浜松:例えば「指先がかゆいなあ〜」ということであれば、かゆみ止めを塗ればだいたい治まりますよね。でも冬は寒くて乾燥するので、またかゆくなってしまう。繰り返しかゆくなるので、「もうかゆみを起こしたくない」という気持ちになりますよね。
土肥:そこで「かゆくないけど、かゆみが起こらない薬」の開発を目指されたのですか?
浜松:はい。いろいろと調査を重ねていくうちに「乾燥肌のスネはどうなっているんだろう?」という疑問にたどり着きました。さらに調査をすると、多くの人が悩んでいることが分かりました。そして「スネが乾燥肌にならないためには、どんな製剤を組み合わせればいいのか?」といった研究を始めました。と同時にマーケティングの部署は、パッケージ開発や言葉探しを始めました。
土肥:言葉探し?
浜松:例えば「キレツ肌」と「粉ふき肌」――どっちがいいかな? といったことを調査しました。ただこの業界というのは、マーケティングが遅れているかなと思っています。その原因のひとつに「薬事法」があるからではないでしょうか。言葉探しといっても、表現に制約があるのでこれを守らなければいけません。
土肥:「この商品、めっちゃ売れてますー!」といった表現はダメ?
浜松:ダメですね(笑)。一番売れている商品でも「最も売れている!」と書いてはいけません。また「こんなにひどい症状が、この薬を使ってこんなに治りました」といったビフォー・アフターの写真を貼り付けることもできません。このほかにも誹謗中傷はいけませんし、大げさな表現もダメ。内容を助長するのもNGなんですよ。でも治るものを使っていただくことはお客さんにとって“うれしい価値”のはず。そのうれしい価値を、私たちは法律の中で表現しなければいけません。
土肥:うはっ、それは難しいですね。
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