ステマ騒動なんのその、一般ニュースも“プロ”が操る時代相場英雄の時事日想(2/3 ページ)

» 2013年01月24日 08時05分 公開
[相場英雄,Business Media 誠]

 日本ではまだあまり馴染みはないが、欧米では記者対応や世論形成を専門に扱う広報・PR代理店がいくつもある。先にあげたシャンドウィック社もその1つ。私も自作『フラグマン』(小学館ビッグコミックス、作画:中山昌亮氏)の中で、かつて米大統領のイメージ戦略を担当した元補佐官を主人公に、ストーリーを綴った経験がある。

 私が通信社記者だったころから、外資系金融機関の対日進出が本格化。その際、海外の大銀行や証券会社、あるいは投資ファンドのアドバイザーとして、こうしたPR会社が控え、個別の記者対応を行っていた。

 米大統領選挙などの一大イベント時、例えば、候補者が着けるネクタイの色で印象が変わる――といったアドバイスを行う人々がいると聞いたことがあると思うが、こうしたことを一括してアドバイスするのがPR会社の役目なのだ。現状、さまざまなニュースに接するにつけ、こうしたプロたちが企業や個人、はたまた国のアドバイザーになっているケースが増えているのだ。

あの国際紛争も“演出”アリ

 昨年来、芸能人や著名人が自分のブログやTwitter上などで特定商品の宣伝をこっそり行う“ステルスマーケティング(ステマ)”に批判が集まっている。あるニュースサイトの中で、某広告代理店のステマ料金表が扱われていたが、読者が目にする一般の記事、テレビニュースにおいても、PR会社が扱うと仕組みは同様なのだ。

 五輪招致や米大統領選挙だけでなく、PR会社の中には、1つの国が戦争を有利に進めるために国際世論を操作するプロも存在するのだ。(参考文献:『戦争広告代理店』、著・高木徹、講談社)

 実際、最近こんな話をPR業界の関係者から聞いた。昨年来、日本は近隣諸国と領土問題を巡ってトラブルが頻発している。「紛争が始まる直前、某国政府関係者からPRアドバイザーの就任を打診されたが、紛争関連の案件は請負わない社内規則なので断わった」(大手代理店)。

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