1976年東京都生まれ。店頭における営業活動や、販促支援、売り場づくりまでを行う「店頭マーチャンダイジング事業」を展開する株式会社マックス取締役。店頭を起点としたマーケティング部門の統括責任者として、価値を伝えきる売り場・売り方の実現について、メーカー様向けに流通戦略から店頭施策、販促企画など幅広いプランニングを手掛けている。近著に『セールスデザイン〜売れる仕組みの作り方〜』がある。
2013年も買い物という行動を基に、モノが売れるということについて考えていきたいと思っています。さっそく、2013年の「カイモノ」がどのようになっていくのか、予測してみましょう。
2012年末の総選挙で自民党が大勝し、政権交代が起こりました。政策の中心として金融緩和による景気対策を掲げていますが、金融経済だけでなく雇用や収入という実体経済が活性化しなくては景気が上向きません。そのために必要なのは消費の活性化、つまり買い物の活性化ですね。
モノを買う機会が増えれば、企業業績は上がります。雇用や給料が増え、再び買い物をするという景気向上のスパイラルに向かいます。つまり、日本の景気を救うためには、1500兆円ともいわれる金融資産をいかに買い物に向かわせるかがカギなのです。
買い物行動を、プル(PULL)型とプッシュ(PUSH)型に分けて考えてみます。
PULL型というのは、ネットショッピングに代表されるように、自分から能動的にする買い物のことです。欲しいモノがあって、ネットで検索して購入するような「自発的」な買い物では、消費者は価格比較サイトをチェックして、できるだけ安く買おうと考えます。PULL型の特徴は、明確に顕在化された購買欲求があって能動的に買い物をするという点にあります。
PUSH型は逆に、予定していなかったモノを買ってしまう「非計画的」な買い物です。店頭で実物を見て、店員に勧められて、予期せぬ買い物をしてしまった経験は誰しもあるのでは? 自分でも想定していなかった潜在的な欲求を刺激されて、ついつい買い物をしてしまうという受動的な買い物がPUSH型の特徴です。
ネット購買が増加する中で、二極化はさらに進んでいくでしょう。PULL型のネット購買が増えていけば、消費者の利便性向上や低価格購買も進んでいきますが、予期せぬ買い物も減っていきます。
消費者がみな、頭に描くモノしか買わなくなってしまえば、消費は頭打ちです。消費を活性化させるために「予期せぬ買い物」を増やす必要があります。つまり、PUSH型の店頭購買を活性化させることが、日本の景気を救う一助になるのです。
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