糸井だけではない。代理人が絡むことによって、逆に交渉が複雑化してしまう例は野球界にいくつもある。強豪球団からFAになった日本人メジャーリーガーの代理人、B氏は新たなメジャー球団の契約先を探したものの、昨今の移籍市場の冷え込みによって苦戦。
メジャー最低年俸の48万ドルの1年契約ですら厳しい状況となっていたことからB氏は、その日本人メジャーリーガーに「一度、日本球界に復帰して商品価値を上げ、メジャーへ再挑戦することも選択肢に入れたほうがよい」と提案した。複数の日本球団が破格の年俸とともに複数年契約を用意しているとの話が舞い込んだからだ。
しかし、その日本人メジャーリーガーは熟考の末に「たとえマイナー契約になっても米国一本で頑張る」とB氏の案を拒否。それでもB氏は日本球団移籍を強く勧めようとしたため、両者の間は一時かなり険悪なムードが漂ったが、最終的には日本人メジャーリーガーの希望どおりに「米国一本」で落ち着いたという。
代理人はクライアントである選手の契約をまとめ上げれば、その約5〜8%が実入りとなる。契約が高額になればなるほど自分の収入も増えるだけに可能な限り、いい条件で“商談”を成立させようとするのは、ある意味で自然の流れといえる。とはいえ、代理人はクライアントの意向を実現させることが最大の責務だ。選手が希望しているにも関わらず、自分の儲けが低くなってしまうことで難色を示すなど言語道断だろう。
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