日本のプロ野球や米メジャーリーグを中心としたスポーツ界の裏ネタ取材を得意とするライター。WBCや五輪、サッカーW杯など数々の国際大会での取材経験も豊富。
仰天トレードが突如として決まった。日本ハムの糸井義男外野手、八木智哉投手と、オリックスの木佐貫洋投手、大引啓次内野手、赤田将吾外野手の2対3の大型トレードが成立。1月23日に両球団から発表された。このメンバーの中で最も驚かされたのは、やはり日本ハムの中心選手だった糸井の電撃移籍だ。
これまでベストナイン3回、ゴールデングラブ賞を4回獲得。2012年シーズンは4年連続の打率3割越え(3割4厘)、さらに2年連続となる最高出塁率のタイトルも獲得した。WBC日本代表候補にも選出されている実力者で、しかも栗山監督からは早々と今季の新主将に任命されるほど人望も厚かったはず。
そんな主力中の主力が、春季キャンプのスタート直前に一体なぜ放出されなければならなかったのか。舞台裏をのぞいてみると、そこには「プロ野球選手」と「代理人」との難しい関係性がクローズアップされてくる。
各メディアの報道によっても明らかにされているとおり、そもそも糸井はメジャーリーグ挑戦の希望を抱いており、2013年シーズン終了後のポスティングシステム(入札制度)によるメジャー移籍を日本ハム側に訴え続けていた。
プロ入り後に投手から打者に転向した背景もあって、海外FA権を取得するのは早くても37歳を迎える2017年のシーズン。一刻も早く移籍したい糸井は今オフの契約更改の場に代理人の弁護士を立てて夢をかなえようとしたものの、応じる姿勢を見せない日本ハム側との交渉は暗礁に乗り上げていた。
日本ハムは2011年に入札制度でダルビッシュ有(現テキサス レンジャーズ)、2012年オフに海外FA権で田中賢介(サンフランシスコ ジャイアンツとマイナー契約)と、ここまで主力クラスの海外放出を繰り返している流れもあって、さすがに3年連続の主力流出を容認するわけにはいかなかった。
その一方で糸井が雇った代理人の弁護士も、とにかく事態を好転させようと強気一辺倒。これが結局日ハム側の逆鱗に触れて、糸井はあっという間に「是が非でも必要な主力選手」から「チームの和を乱す厄介者」となり、今回のトレードに至った。これが世に伝わる一連の騒動の流れだ。
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