今回のテーマは確定申告=個人事業主の税金の話なので、個人事業主という立場で話を進めよう。次の選択肢は白色申告と青色申告だ。青色申告は青色申告特別控除として65万円の控除が受けられるのが一般的だが、10万円の控除が受けられる通称「青10(アオジュー)」も存在する。それぞれの詳細は後述するが、簡単に比較をしてみよう。
− | 白色申告 | 青色申告(10万円控除) | 青色申告(65万円控除) |
---|---|---|---|
届出 | 不要 | 青色申告承認申請書を提出 | 青色申告承認申請書を提出 |
記帳の仕方 | 単式簿記の記帳 | 単式簿記の記帳 | 複式簿記の記帳 貸借対照表の提出 損益計算書の提出 |
申告期限 | 3月15日以降も可 | 3月15日以降も可 | 3月15日厳守 |
特典 | なし | 青色申告特別控除10万円 青色事業専従者給与 赤字の3年繰り越しなど |
青色申告特別控除65万円 青色事業専従者給与 赤字の3年繰り越しなど |
実質的な差として大きいのは記帳の仕方だろう。知識がないと貸借対照表や損益計算書を簡単に作成することはできない。そのハードルが越えられるなら青色申告(65万円控除)を選択すればそれなりの特典が得られる。それが無理なら白色申告か青色申告(10万円控除)を選ぶことになる。
白色申告と青色申告(10万円控除)を比較すると、紙切れ1枚(青色申告承認申請書)を提出するだけで、そこそこの特典が得られる。白色申告をしている人は少なくとも青色申告(10万円控除)に切り替えた方が得だと思われる。
先日、「奥川さんはどうして青色申告にしたんですか?」と聞かれたので、即答で「ケチだから」と答えた。「10万、20万の税金は気にせず払う」と言いきれる人は面倒な帳簿を付ける必要はないだろう。少しでも節税したいと思う人は青色申告を選択(少なくとも青10)をするべきだ。
独立した当時の記憶を呼び起こしてみると、筆者は青色申告という言葉は知っていたが、白色申告は知らなかったような気がする。青10にいたっては全く知らなかった。筆者の仕事の1つはメーカーの広報代理業で、過去にビズソフト社の青色申告ソフトの広報を請け負ったことを思い出し、確認してみると発表した日が開業届を出した数日前という事実に驚いた。
メーカーの担当者と同行して各媒体の編集者に新製品を紹介したのだが、その時は個人事業主と法人の違いもよく分かっていなかったし、青色申告の特典など知るよしもなかった。そこから数日で「青色申告のほうが得」と知って、開業届と一緒に青色申告承認申請書を提出したことになる。今さらだが、無計画な独立だったことにあきれるばかりだ。
余談だが、筆者宅には広報をお手伝いした会社の製品がたくさんある。発売前の新製品を預かってあれこれテストをしてデモ用の素材を準備し、発表が終わるとそのままもらえることが多い。もしビズソフトから青色申告ソフトをもらっていたら、いまではビズソフトユーザーだったかもしれない。
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