鉄道運賃値上げの本番は2014年4月杉山淳一の時事日想(3/4 ページ)

» 2013年03月01日 08時00分 公開
[杉山淳一,Business Media 誠]

2014年の消費税率アップが契機に

 そのJRグループの運賃値上げのチャンスがやってくる。2014年4月の消費税率改定だ。過去に消費税率のアップに伴う運賃値上げが実施されているから、おそらく今回も3%程度の値上げとなるはずだ。ただし、鉄道会社の場合、運賃値上げは簡単なことではない。国土交通省への手続きが必要になる。

 JRに限らず、鉄道、バス、航空の運賃の変更は国土交通省の認可が必要になる。かつては値上げ、値下げに関わらず手続きが必要だった。しかし1997年に国に認可された運賃内で鉄道会社が任意の運賃を設定できる上限価格制となり、2000年の規制緩和後は「上限運賃」のみ認可が必要で、上限以下の運賃は届出のみとなった。

 また、基本運賃以外の特急料金・寝台料金・グリーンなどは原則として上限規制はなく、届出制となっている。急行列車を廃止して特急列車に置き換えると、急行料金から特急料金への実質的な値上げとなるが、これは問題ない。公共性は普通列車で保たれていれば良いという考えだからだろうか。上限運賃は「乗車券ぶんのみ」の制度である。

 ただし、新幹線特急料金だけは上限運賃が適用される。JRは基本運賃については実質的な値上げをしていないと書いているが、新幹線特急料金については上限運賃の値上げを申請し、軽微な事案として認められている。事例として、山陽・九州新幹線「みずほ」、東北新幹線「はやぶさ」のデビューに伴う上限運賃(料金)の改定などがある。

 基本運賃の上限運賃設定については、消費者庁のWebサイトに例が出ている。京急電鉄の品川―横浜間の上限運賃は300円。しかし、この区間はJR東日本と競合するため、実際には290円と10円安くなっている。この値下げに関しては届出のみで良い。今後、もっと下げる場合も届出のみ。また、収益を見直すため300円に値上げする場合になっても、すでに認められた上限運賃300円の範囲内なので届出のみで良い。

鉄道の運賃・料金の値上げに必要な手続き

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