話し方ばかり訓練してもダメ――評価される人、されない人の違いサカタカツミ「就活・転職のフシギ発見!」(2/3 ページ)

» 2013年03月04日 08時45分 公開
[サカタカツミ,Business Media 誠]

「1社だけ通過しなかった人」が多かった、その理由

5社合同で新卒採用を行う取り組み。Facebookページで詳細が分かる

 まず、1〜4社から選ばれた6割の内訳ですが、1社だけ通過しなかった人(4社から選ばれた人)の割合が意外に多かったそうです。前回も書きましたが、もし従来の選考で通過した4社を受けておらず、不通過だった1社だけ受けていたら、「自分はまったく評価されなかった」と勘違いしてしまったであろう就活生たちです。

 彼らが1社だけ不通過だった理由はきわめてシンプル。「その企業が欲しいと決めていた就活生ではなかったから」です。例えば、エンジニアを採用する予定がない企業は、エンジニアを志望している就活生を採りません。5社合同選考会に限っては、エンジニアを採用したがっている企業もあれば、そうではない企業もありました。だから、エンジニアを志望している就活生は、それ以外の企業の選考は通過できることになります(当たり前の話ですが)。就活生側から見ると、「その企業がどんな学生を欲しいのか」という企業側のニーズを見誤ってしまうと、いくら優秀でも「今回欲しいタイプじゃない」という理由だけで、選考落ちしてしまうのだという当然なことを、如実に表す結果となったのです。

 とても分かりやすい話ですし、今さら感も満載ですが、相手、つまり企業のことをできるだけ調べて選考に臨むのが就活の基本。しかしそこをおろそかにしてしまったり、手を抜いてしまったり、「このくらいは採用するはず」などと自分で拡大解釈をしてしまうと、「能力は認められているはずなのに採用は見送られる」という、悲しい現実を突きつけられるのです。いくら受けても選考に通過しないという就活生は、まず「企業が求めている学生」を調べ直してみることをお勧めします。こんな話は本当に基本中の基本ですから、おせっかいだと思いつつ、きちんと念押ししておきたいポイントです。

1社しか評価しなかった学生の共通点は「会社の好み」

 逆に、1社しか通過しなかった(4社で落ちた)就活生についても聞いてみました。それは就活生の特徴というよりも、企業の「採用ポリシー」によるところが大きかったようです。「このタイプだったら、多少評価が低くても、広めに取っておきたい」とストライクゾーンを拡大する企業だったり、「本来こういう就活生はボールだけど、意外に化けるかも」という悪球打ちの企業までいろいろとあるということです。そういう場合「1社だけ通過」という結果になりやすい。

企業の採用ポリシーもいろいろ(写真と本文は関係ありません)

 しかし就活生の多くは、企業の選考にはある程度「基準がある」と信じ込んでいます。「好みで採用している」という点は納得しにくいのでしょう。しかし、採用基準が企業によって違うのは当たり前で、その結果、落とされることもあれば、拾われるというケースも出てくるのです。落とされたからといって、自分だけに原因を求める必要もない、とも言えます。「私が悪かったんだ」と自分を責めるのではなく、あくまで「ここの好みに合わなかっただけ」と忘れてしまうくらいのほうが、就活生にとっては精神衛生上好ましいと、個人的には思います。

5社すべて選考を通過した就活生の共通点

 ついでに、2:6:2の2である「5社すべてで選考通過」した就活生についても見ていきましょう。彼らの共通点は「自分で決断できる」というところだったようです。今までの経験や、取り組んできたことを「自分で選び」そして「実行してきた」という話だと、採用担当者たちは納得しやすい。もちろん、リスクもふまえた上で、自分で選んで行動してきた人たちは、自分の言葉で自信を持って話すことができるため、それも魅力的に見えるようです。

 注目したいのは、取り組んできたことや、頑張ったことの「粒の大きさ」は、あまり採用担当者たちは気にしていないということ。どれくらい大きなことをやったか、よりもむしろ、それを自分で選んだということに「気がついたら重きを置いていた」と、採用担当者たちは振り返っていました。ただ、これは裏を返すと「5社とも不通過」の学生にとって、つらい話ともいえるのです。

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