グローバル化の波は大学にも――「国際学生寮」が増えているこれからのことがよく分かるコラム(3/4 ページ)

» 2013年03月13日 00時00分 公開
[小林浩,Business Media 誠]

外国人留学生との共同寮を設置する動き

 高校生の不安を払拭し、日本国内にいながら外国人留学生と一緒に生活することができる「寮内留学」。単に生活するだけでなく、「外国語習得+異文化理解」を醸成する教育の場として価値が高まっている点は、昔の寮との大きな違いだと思います。

 育った環境が異なる外国人と一緒にリアルな日常を過ごしていくためには、いろいろなことを考えていかなければいけません。例えば、宗教や文化の違いからクリスマスパーティーを開くかどうか、ゴミをどのように捨てればいいのか、お祈りの時間や場所はどのようにすればいいのか。またハラルフード(イスラム教上で許された食品)などについても、一緒に議論しながら乗り越えることが必要になります。

 「寮内留学」を通じて、外国に対する関心も高まり、次のステップとして本格的な海外留学に旅立つ学生も少なくありません。大学側も単に寮をつくるだけではなく、共有スペースを活用した国際交流イベントを開いたり、異文化理解のためのセミナーや勉強会を開催したり、人材育成プログラムに力を入れています。

 国際学生寮の先行事例は、国際基督教大学、立命館アジア太平洋大学、国際教養大学といった、グローバル人材育成をミッション(教育目的)とした大学にあります。こうした大学はキャンパス全体がグローバル化した大学といえるでしょう。しかし、ここ数年は中央大学や福岡女子大学など、総合大学や女子大にもこうした外国人留学生との共同寮を設置する動きが広がっています。

 さらにこれから数年は、芝浦工業大学、麗澤大学(いずれも2013年開設予定)、早稲田大学(2014年開設予定)などが続々と設置を予定しており、今後もこの動きは拡大していくでしょう。特に早稲田大学が開設を予定している国際学生寮「中野国際コミュニティプラザ」には、この1月に同大学の卒業生であるファーストリテイリングの柳井正会長が大口の寄付をするとの報道があり、注目が集まりました。

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