事の発端は昨年11月中旬、ロイターをはじめとする一部経済メディアが、UE社が計画をすすめているフィリピンのカジノリゾートの認可をめぐって、フィリピンカジノ公社に近い人物に3000万ドルの不正な資金を送ったのではないか、という疑惑報道である。
当然、UE社は真っ向から否定。ロイターに対して2億円(全体の請求金額192億円の一部)というダイナミックな名誉毀損訴訟を提起したのだが、ここに颯爽と「参戦」をしたのが「朝日新聞」である
年の瀬も差し迫った12月30日、31日とロイターを援護射撃するような記事を2日にわたって掲載。さらに年が明けた2月8日には「取締役会決議書」なる社内文書を入手し、不正といわれている資金の送金について、岡田和生会長ら取締役が指示した署名がある、と報じた。
もちろん、UE社が黙っているわけがない。そんな名前の文書はハナから存在しないと即日否定し、「朝日新聞」の取材を「組織的な反社会的活動」と猛抗議。そんな息詰まる攻防のなかで、次の一手として「朝日新聞」側が切った“カード”が「石原宏高氏」である。
この連載でも述べたが、宏高氏はフィリピン政府関係者と強いコネクションがある(関連記事)。そんな人物とUE社に「黒い交際」があると世間に印象づければ、カジノ疑惑もグンと信ぴょう性を増す。要するに、外堀から攻めていこうというわけだ。
両者が激しい争いをしているのはよく分かったが、「日本経済を左右」は言い過ぎだろ。そんな声が聞こえてきそうだが、これがあながち大げさな話でもない。
実は「カジノ」というのはかなり手っ取り早く景気回復ができる。ウオーターフロントやらリゾートが大規模再開発ができるのでゼネコンは潤う。外国人がわんさかと訪れるので観光業も活性化し、雇用も創出される。というのは別に私の持論ではなく、いろいろな自治体やらがそう言っている。
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