日本ではあまり馴染みがないが、海外では政治家や企業が自分に有利な情報操作を行うことを「スピンコントロール」と呼ぶ。企業戦略には実はこの「スピン」という視点が欠かすことができない。
本連載では、私たちが普段何気なく接している経済情報、企業のプロモーション、PRにいったいどのような狙いがあり、緻密な戦略があるのかという「スピン」をひも解いていきたい。
「接客業は奥が深い」とよくいわれる。
愛想よく笑顔を浮かべ、明るく元気にハキハキと、正しい言葉遣いで対応していてもクレームが入ることがある。マニュアル的な対応を押し付けがましく感じたり、鼻につくと受け取ったりする人もいるのだ。
かといって、一歩引いて落ち着いた雰囲気で対応すると、今度は「冷たい」「やる気がない」などと文句が飛んでくる。相手が生身の人間である以上、十人の客がいれば十通りの感情があり、寄り添い方も十通り必要になる。これさえやっておけば「正解」というものがないのだ。
そんな「答えのない仕事」の中でも、他業種と比べて次元の異なる奥深さがあるのが、「斎場スタッフの接客」だろう。
大切な人を失って、悲しみに暮れる喪主や家族をサポートするという点では、葬儀業者と重なる部分もあるが、斎場スタッフが特殊なのは、遺体を火葬し、遺骨を遺族の前に運び、骨壺に納めるという一連の役割を担う点だ。いわゆる「お骨上げ」「収骨の儀」を執り行う点だ。
大切な人を亡くした場面を想像していただきたい。つい先ほどまで生前の姿だった人が、骨という「物質」に変わり、それが箸でつままれて、小さな壺に納められていく光景を見たら、心が揺さぶられてしまうはずだ。そんな行き場のない「負の感情」を、目の前の斎場スタッフにぶつけてしまう人もいるだろう。
では、そんな過酷な「感情労働」の現場で、斎場スタッフたちはどうやって、悲しみに包まれた人々に寄り添っているのか。火葬によって大切な人の「死」を改めて実感し、ショックを受けている人たちに、少しでも穏やかな気持ちで斎場を後にしてもらうために、どんなことを心がけているのか。
それを知ることは、外食やホテルなど「感情労働」を生業(なりわい)としている人たちはもちろん、顧客のクレーム対応をしなくてはいけないビジネスパーソンにとっても大きな気付きにつながるはずだ。そこで今回は、東京博善(東京都港区)のベテラン斎場スタッフ2人にインタビューした。
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