細かいことをイチイチ気にしていたら生活できない……。そんな声が聞こえてきそうだ。だが、もう少しおつき合いいただきたい。
先に、ある書店員さんから売れ行き好調だと知らされた書籍がある。タイトルは『加工食品の危険度調べました/家族が口にしている食べもの本当に安全ですか?』(渡辺雄二著/三才ブックス)。著者は食品や環境問題を長年取材している科学ジャーナリスト。
なぜ売れ行き好調なのか、同作を手に取った瞬間に理解できた。醤油や冷凍食品、清涼飲料水などどこの家庭にも常備されている食品をリストアップした上で「不可」「可」「良」「優」のランクで格付けしているからだ。「不可」については、こんな但し書きがある。
危険性の高い添加物が使われている/多くの添加物が使用され、胃や腸などに悪影響を及ぼす可能性がある。
例えば「不可」とされた食品の代表格にはカップ麺がある(本書の中では商品名も明記)。見出しはこのような形だ。
カップめんの代表格は添加物まみれの代表格
昨年、私は食品偽装や地方都市の衰退をテーマにした小説『震える牛』(小学館)を上梓した。
執筆過程では食肉の流通や食品加工の現場をつぶさに取材し、先に触れたような多数の資料本も読み込んだ。この過程で感じたのは、企業は顧客の健康よりも自分の利益を優先する傾向が強い、ということだ。原発事故しかりで、企業や国は、まずは己の権益確保を考える性質を持つ。お叱りを承知で言えば、食に関しても同じなのだ。
食に関する裏表、さまざまな知識を吸収したあと、私個人が使った対抗手段はこうだ。地元の商店街で、安全な品物を提供してくれる個人商店との関係を密にすること。
例えば、週に2〜3度顔を出す鮮魚店では、店主が毎日築地に出かけ、国産の新鮮な魚介類を仕入れ、安価で店頭に並べる。刺身や煮物、揚げ物のレシピまで丁寧に提供してくれる。もちろん、怪しい添加物や人工甘味料は介在しない。
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