私たちの社会は自然災害に対して少しは安全になったのか?藤田正美の時事日想(2/4 ページ)

» 2013年04月08日 08時00分 公開
[藤田正美,Business Media 誠]

 土曜日の夜、携帯には横浜市から河川に関する情報が次々に送られてきた。「氾濫注意水位を超えて上昇中」とか「避難判断水位を超えた」とかのメールが届く。

 このメールは、横浜市総務局危機管理室にあらかじめ申し込んでおけば送られてくる。地震、河川水位、津波、豪雨、土砂災害、竜巻などなど、あらゆる自然災害に関する情報を伝達し、共有する役割を担っている。実際、Twitterには横浜市の情報をリツイートしたものが数多く流れていた。情報が拡散され、よりたくさんの人々が共有したのである。

 こう書くと、横浜市の危機管理がいかにも進んでいるように思われるかもしれないが、実際はそうでもない。河川水位に関するメールが頻々(ひんぴん)と届くようになったとき、もう少し詳しい情報をと思って、横浜市のWebサイトにアクセスしてみた。

 最初に驚いたのは、Webサイトがまったくいつものままの状態だったことだ。横浜市内で水が溢れるかもしれない状況にあれば、サイトのトップページに警告が出ているだろうと思った。さらに詳しい情報を継続的にフォローして欲しいと「勧告」するようなリンクが大きく表示されているものだろうが、何もない。

 結局、「河川」とか「水位」といったキーワードを入れて検索して、道路局河川管理課のページに行き着いた。そこで「水防災情報のトップページ(参照リンク)」というリンクがあり、それをクリックすると、残念なことに、混み合っているせいか、つながらない(何度か繰り返すうちに、不安定ながらアクセスできた)。しかもつながらない画面は、英語で書いてあった。なぜ日本語で「一時的に混み合っていてつながりにくくなっています」と書けないのだろうか。横浜市のセンスを疑ってしまう。

 それよりも問題なのは「つながりにくくなった」という事実である。大雨は、地震と違って、いきなり来るわけではない。その意味では情報を見にくる人の数もそれほど多いわけではあるまい。それなのに、横浜市当局のWebサイトは、機能停止していたのだ。

 もしこれで東京湾直下型地震とか東海大地震とかが発生して、津波が来るというような状況になったとき、横浜市の情報伝達や避難勧告は機能するのだろうかと心配になる。横浜は、ほぼ370万人の市民を擁する日本で最大の基礎自治体だ。当然、市民に情報を伝えるためのサーバは、そのアクセスに耐えられるものでなければなるまい。

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