なぜ部下にイライラしてしまうのか? 上司が歩む3つのステップ気鋭の経営者に聞く、組織マネジメントの流儀(2)(2/4 ページ)

» 2013年04月19日 12時00分 公開
[Business Media 誠]

中土井:自分が排除されていると感じた部下が、「期待を上回るような成果を出そう」と思うかというと、恐らく難しいでしょう。排除しない、つまり「信じる」ことと、成果への「期待」を分けて考えるわけですね。そして、自分が部下に伝えている期待と、そこに至るためのプロセスに合意しながら、至っていなければ原因を分析すると。

辻井:そうですね。

中土井:メンバーを信じることについて考えるようになったきっかけはありますか?

辻井:頭ではなく、自分自身が心から信じることができるようになって初めて、部下が変わったという体験はあります。私自身も信じてもらって成長させてもらったように思いますし。昔の上司も何も言わずによくもここまでやらせてくれました。

 部下が反発していたり、言われたことしかやりませんという態度をとっている場合、いろいろな要因があるのだと思いますが、それには必ず、彼らがそういう態度をする原体験のようなものがあるはず。前職で上司に裏切られたとか。その原体験までさかのぼって、話を聞いてあげることが大切だと思う。

 今の上司は、そんな過去のことまで責任は負っていないので、未来の話だけをしましょうと言いたくなるかもしれませんが、本人にとっては重要なんだろうと思います。

中土井:興味深いお話ですね。多くの場合、その部下の個性ややる気の問題、もっと言うと道徳の問題ととらえて、人間性の否定につながりがち。でも辻井支社長は個人の中には原体験があるはずだと。そう考えていないと、粘り強く話を聞くというのは、なかなかできることではありません。

辻井:私もいつもできているわけではないです。「あいつ、今日はやる気ないなあ」と思ってしまうこともあります。でも、それをそのまま伝えることはありません。ちょっと待てよ、これでは私がいつも言っていることと違うぞ、と踏みとどまるように努力しています。

 メンバーを信じたほうが到達したいゴールに近づけるんだったら、絶対に信じたほうがいい。組織の一員として、私はお互いのことを信じられる組織にしたいし、理想に到達したい。私には人間として何が正しいかを語る資格はありませんが、信じることをベースにしたほうがミッションやビジョンを実現する近道であると思っています。

中土井:理想に照らし合わせて、「あいつ、やる気がないなあ」と思ってしまっている自分を振り返るのですね。

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