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» 2013年05月01日 08時01分 公開

田原総一朗VS. 水道橋博士のテレビと著作権(前編):ネットを使ってテレビを見るのは、そんなにダメなの? (6/6)

[COLABORAジャーナル]
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 一方日本では、地上波も衛星放送も直接受信による無料放送が大半(NHKを除く)であり、都市部で受信できるチャンネルは無料放送に限れば、米国の10分の1程度である。またテレビ番組も供給方法にも違いがある。基本的に日本の番組は、放送局主導で制作会社が制作しており、1つの番組はその局および系列でしか放送されない。日本のテレビ番組は、自分で録画予約でもしていなければ1度きりしか見られない、「プレミアムコンテンツ」として制作されている。

 この違いが、日本においては過剰なまでにテレビ番組がネットへアップされるという流れを作っていった。当然その分だけ、テレビとネットは摩擦が大きくなる。

 加えて日本の著作権法では、映像と音楽に対して早くからコンテンツを通信に流すことを視野にいれた「送信可能化権」および「公衆送信権」が規定されていた。テレビ番組をネットに上げる段階、あるいは上げる準備をする段階で権利侵害が問える構造になっていたこともあり、米国型ともいえる「ノーティスアンドテイクダウン」ではなく、アップロードする行為に違法性を問うという流れが主流になっていった。

 テレビ局自身が自らテレビ番組をネットに流す事が難しいのは、主に契約上の問題が大きい。テレビ番組の権利は、テレビ局、制作会社、出演者、音楽家など複数の関係者がそれぞれの権利を保有している。日本のテレビ局は、自局およびネット局で放映することしか想定していなかった。すなわち米国のように、多数の配信先に番組を販売するようなシステムではなかったため、番組の利用許諾を一括で行なえるような権利のまとめ方をする必要がなかったのである。

 ただ最近になって、一部の番組ではネット配信を視野に入れた契約に変わってきているとも聞く。また対談中にもあるように、出演者や制作者サイドがネットへのアップロードを積極的に黙認する例もある。

 さらには権利関係をよりクリアするために、テレビ番組からスピンアウトしたネット専用のコンテンツを別途制作したり、予告編を放映したりすることも増えてきている。一方映画やアニメ作品は、テレビ番組と違ってそもそも権利許諾の一本化が進んでおり、ネット配信に親和性が高いともいえる。

日本における放送とネットの特殊事情:

小寺信良

 一般社団法人インターネットユーザー協会 代表理事。長年テレビ番組の編集者としてバラエティ、報道、コマーシャルなどを手がけたのち、94年に独立。以降映像機器関連の著作業に転業し、現在に至る。2007年にジャーナリストの津田大介とともに任意団体「インターネット先進ユーザーの会」を発足、2009年に法人化した際に「インターネットユーザー協会」に改称。インターネットにまつわる法規制に対して、ユーザーの利益を損なうことがないよう意見表明を行なっている。


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