トラックドライバーが不足しているのに、鉄道貨物が盛り上がらない理由杉山淳一の時事日想(1/5 ページ)

» 2013年05月17日 08時01分 公開
[杉山淳一,Business Media 誠]

杉山淳一(すぎやま・じゅんいち)

1967年東京都生まれ。信州大学経済学部卒。1989年アスキー入社、パソコン雑誌・ゲーム雑誌の広告営業を担当。1996年にフリーライターとなる。PCゲーム、PCのカタログ、フリーソフトウェア、鉄道趣味、ファストフード分野で活動中。信州大学大学院工学系研究科博士前期課程修了。2008年より工学院大学情報学部情報デザイン学科非常勤講師。著書として『知れば知るほど面白い鉄道雑学157』『A列車で行こう9 公式ガイドブック』など。公式サイト「OFFICE THREE TREES」ブログ:「すぎやまの日々」「汽車旅のしおり」、Twitterアカウント:@Skywave_JP、誠Styleで「杉山淳一の +R Style」を連載している。


 大量かつ高速、定時性に優れた鉄道貨物輸送を推進すべく、国土交通省は2007年から「貨物鉄道輸送の将来ビジョンに関する懇談会」を開催している。参加者は学識経験者として、大学教授、コンサルタント。荷主の立場からトヨタ、キヤノン、三井物産、東芝物流。物流事業者からJR貨物、日本通運、丸運。業界団体から全国通運連盟。行政からは国土交通省鉄道局、国土交通大臣官房参事官、独立行政法人の鉄道建設・運輸施設整備支援機構となっている。

 今年3月26日。同懇談会の第5回が開催され、その報告書の概要が4月26日に同省サイトで公開された。同懇談会の発足時は京都議定書のCO2削減目標期限を睨み、環境重視のモーダルシフトが目的だった。しかし5年後のいま、環境よりも優先度の高い課題が生まれているようだ。第一にトラック輸送に破たんの兆しがあること。第二に物流の主軸が海外に移りつつあること。第三は、トラック輸送の破たんに関連して、道路交通の事故リスクが高まること。当初のきっかけだったCO2削減は項目の4番目となっている。

鉄道貨物の復権はあるのか?
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