コラム
» 2013年06月14日 08時00分 公開

アップルの聴き放題サービス「iTunes Radio」は、音楽制作者を殺すのか(3/4 ページ)

[山崎潤一郎,Business Media 誠]

ストリーミングは、未知の音楽との出会いを演出する?

 その一方で、「ストリーミングは、収入増のチャンスを与えてくれる」という期待もある。SpotifyやPandoraの側は、「われわれは、未知の音楽との出会いの場を提供している」という。PandoraのCEOが、CDがほとんど売れないようなインディ系のアーティストにも年間数百万円の楽曲使用料を払っていると反論したこともあった。

 ストリーミングで初めて聴き、気に入ったアーティストの楽曲をiTunes Storeで探して購入するユーザーは多くいるようで、米国の調査会社が出した報告(参照リンク)では、「iTunesで楽曲を購入するユーザーの64%がオンラインラジオ(無料のストリーミング)を聞いている」とし、ストリーミングサービスが未知の楽曲の出会いの場として機能し、それがiTunes Storeでのダウンロード販売に結びついていると、結論づけている。

 実際、1リスナーとしてSpotifyをヘビーに利用する筆者も、Spotifyをきっかけに気に入りiTunes Storeから購入した楽曲が相当数ある。というか最近は、ほぼこの方法で音楽を購入している。それだけに、この論調には大いに賛同するものだ。

 ただ、SpotifyからiTunes Storeへの送客数といった、音楽との出会いから購入に至る相関関係を明確に示す数字の報告が、アグリゲーターからあるわけでない。「あなたの今月の収入はこれだけです」と最終結果がポンと目の前に示されるだけだ。途中のプロセスが「見える化」されていないだけに、「ストリーミングは収入増のチャンス」と手放しで喜べる状況でないことも事実なのだ。

 こういったものは、ネット広告のようにコンバージョン率といった数字が示されてこそナンボのものだと思うのだ。Spotifyなどのプラットフォーム側が、そのような情報をデータとして持っているのかどうかは分からないが、コンテンツ提供者としては知りたいところだ。

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