なぜメジャーリーガーは「クスリ」がやめられないのか?臼北信行のスポーツ裏ネタ通信(1/4 ページ)

» 2013年06月27日 14時00分 公開
[臼北信行,Business Media 誠]

著者プロフィール:臼北信行

日本のプロ野球や米メジャーリーグを中心としたスポーツ界の裏ネタ取材を得意とするライター。WBCや五輪、サッカーW杯など数々の国際大会での取材経験も豊富。


 日本プロ野球界が統一球騒動に揺れ動くなか、海の向こうのメジャーリーグも「マイアミ・ショック」で激震が走っている。Aロッドことアレックス・ロドリゲス(ヤンキース)やライアン・ブラウン(ブルワーズ)、メルキー・カブレラ(ブルージェイズ)ら複数のスター選手がフロリダ州マイアミのアンチエイジング専門クリニック「バイオジェネシス」から禁止薬物の提供を受けていた疑惑が2013年2月に浮上したのだ。

 米スポーツ専門局ESPNによると、事態を重く見たMLB(メジャーリーグ機構)が同クリニックに聞き取り調査を行っており、近々にも結果が公表されるとの見通しが広まっている。

 薬物購入が裏付けられれば、カブレラら2度目のドーピング違反者には100試合の出場停止処分が課せられることになる。さらにロドリゲス、ブラウンらはMLBの事情聴取に対して虚偽の回答をした疑いが持たれており、メジャーを代表する主力2人の「ウソ」が判明すれば長期の出場停止処分が下されることになる。

 今回ESPNが入手した同クリニックの顧客リストに記載されているのは、前出のロドリゲスら3人を含むメジャーリーガー20選手。同クリニックの元従業員が書いたとされるメモには尿検査で検出されにくいヒト成長ホルモン(HGH)や筋力増強剤のステロイドと興奮作用のあるテストステロンを含めた禁止薬物を2009年から2012年までロドリゲスらに渡し、薬物の代金が医師の口座へ定期的に振り込まれていたことなどが詳細に記述されているという。

 ちなみに以前、ロドリゲスはレンジャーズ時代の2001〜2003年に禁止薬物を使用したことを認めている。メジャーで本格的なドーピング検査と薬物使用の罰則が課せられるようになったのは2004年のシーズン以降だったことから「ルール違反には当たらない」として処分されなかった。しかし次に「立件」されれば、まず弁明の余地はないだろう。

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