なぜシリアは空爆されるのか? 日本よ、本当の外交に目覚めろ伊吹太歩の時事日想(2/4 ページ)

» 2013年09月05日 06時45分 公開
[伊吹太歩,Business Media 誠]

化学兵器の使用疑惑は2012年初頭からあった

 なぜ、シリアは空爆されなければいけないのか? 2年半も内戦状態が続いている「シリア内戦」について、できる限り簡潔にすべてが分かるよう説明したい。

 チュニジアとエジプトで起きた「アラブの春」が周辺国に広がる中、シリアでは2011年3月に反政府運動が始まった。バシャル・アサド大統領率いる政府と反アサド勢力がお互いを攻撃し合い、これまでに10万人といわれる死者を出している。さらに暴力を逃れるために隣国のトルコやレバノン、イラクなどに難民があふれ、その数は170万人にも達する。

シリア チュニジアとエジプトから広がった「アラブの春」はいまだに“春”を迎えてなんかいない

 攻撃の応酬が続く中、2012年になって化学兵器が使われたという話が出始めた。アサド政権も反アサド勢力も化学兵器を持っている。結局、化学兵器もどちらが使っているのか分からない状況が続いた。そして2012年夏、オバマ米大統領は化学兵器の使用を「最後の一線」と呼び、使ったら武力行使すると脅した。

 そして2013年8月21日、何者かが(政府軍か反アサド勢力かは分からない)首都ダマスカス近郊に化学兵器による攻撃を行ったことで、米政府は「最後の一線」を越えたと判断、「武力行使だ!」となったのだ。

 ちなみに反アサド勢力にはさまざまな組織があり、国外のテロリスト、例えば国際テロ組織であるアルカイダ系などもいる。彼らの目的はアサド政権を崩壊させるだけでなく、シリアをイスラム国家にすることだ。反アサド勢力の中にそんな集団もいるため、米国は少し前まで反アサド勢力に対して大々的に協力できなかった。

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