筆者は「日本は米国を支持すべきではない」と考えている。なぜならば日本という国はシリア人からも尊敬の眼差しで見られているからだ。彼らは経済的・文化的な側面から信頼感すら抱いている。こうした見方は世界的に共通しており、第二次大戦で日本人が踏み荒らした東南アジアの国々も同じように感じている。極めて数少ない例外は、中国と韓国、そして北朝鮮だけだ。
実は内戦が発生する前、アサドは米国の経済制裁などで疲弊した経済を立て直すために、水面下で米国寄りに動いていた。例えば9.11米同時多発テロ以降は、テロ組織などの情報提供をCIAに行っていた(結局はそれに米国が誠意を持って応えなかったので、反米であるイランの経済支援に頼るようになってしまったのだが)。
日本はこうしたシリアの状況を逆手に取り、経済的な支援などでシリアへの影響力を高めることもできたはずだし、内戦勃発後、「戦争はしない」日本が欧米とシリアの間に立つこともできただろう。もちろんそれには中長期的な分析とそれを実現しようとする外交官の資質、そして長いプロセスが必要になる。でもそんな役回りが世界中でできるのは、日本を含めた数少ない国しかないともいえる。
それを自覚して、世界中で日本のプレゼンスを高めるために、本当の外交を日本には行ってもらいたいものである。「日本とならば」と話をしてくれる国は、シリアをはじめ世界中にたくさんあるのだから。
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