なぜシリアは空爆されるのか? 日本よ、本当の外交に目覚めろ伊吹太歩の時事日想(3/4 ページ)

» 2013年09月05日 06時45分 公開
[伊吹太歩,Business Media 誠]

米国は発言力を維持するために引けなくなった

ホワイトハウス 今日もホワイトハウスではシリアへの懲罰攻撃に向けた会議が続く

 今回、化学兵器が使用されたという報道で、安倍首相は「日本政府としてはシリアで化学兵器が使用された可能性が極めて高いと考えている。化学兵器使用はいかなる場合でも許されるものではない」と語った。

 だがこれは当たり前のことを言っているに過ぎない。結局のところ、問題は化学兵器が使われたかどうかではなく、「誰が」使ったのかということだからだ。米国は「最後の一線」なんて余計なことを言ってしまったから、今になって後に引けない。攻撃しなければならない。そうしないと核兵器開発中のイランなど他の国への発言力が弱まる。

 じゃあ、米国が支援を表明している反アサド勢力が使ったのだとしたら、米国は反アサド勢力を攻撃するのだろうか? 答えはノーだ。だからこそ無理にでもアサドの仕業にしなければならず、アサド政権に責任があると言い張っている。なぜなら、さまざまな事情でアサドに有利になることなど、できっこないのだ。例えば、シリア領土の一部を占領している親米国家イスラエルの手前だ。

 ともかく、そんな怪しい状況のシリアで米国は空爆を実施することになる。かなり米国寄りである安倍首相は、オバマがシリア空爆に乗り出したら、迷うことなく支持を表明するだろう。かつて小泉純一郎首相が、結局ウソだった「イラクにおける大量破壊兵器の存在」で米国に同調したように。

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