100周年を迎えた北陸本線は、あと1年半で転機を迎える。糸魚川―金沢間が北陸新幹線の並行在来線としてJR西日本から分離されるからだ。各県が主体となって、それぞれの区間を受け持った第3セクターに移行する。「北陸本線100周年記年号」はJR西日本にとって、北陸本線全区間の沿線に感謝を示す貴重な機会のひとつでもある。
別の関係者は「乗車される参加者だけではなく、撮影しに沿線を訪れる人も、ガソリン代や飲食代などで地域にお金を落としてくれる。マナーの悪い撮影者ばかり注目されるが、イベント列車が走るメリットは沿線にもある」という。要するに折り合いの付け方で、鉄道会社などがきちんと対応すれば解決できるし、沿線にメリットが大きいわけだ。
そしてなによりも、鉄道イベント列車の成功のカギは、旅行会社、鉄道会社の関係者が「鉄道が好き」であること。この要素がかなり重要だと感じた。JR西日本と日本旅行の組み合わせの鉄道ツアーは固定ファンも多いという。「常連さんが半分くらいいらっしゃるんですよ。常連さん同士も仲がよく、マナーも良く、いつも良い雰囲気です」(日本旅行 西日本営業本部の玉川淳さん)
確かに、私をはじめ、初めて参加した人も気軽に会話ができ、すぐに雰囲気に馴染めた。鉄道が好き、という連帯感が居心地の良さを演出しているようだ。
ツアーを企画した日本旅行の玉川淳氏。常連客の人気も高く「玉川さんの企画なら」と参加する人も多いという。隣の参加者は前日にJR東日本が開催した国鉄色485系特急「ひたち50周年記念号」に参加したという。お互いに情報交換といったところだ(左)、走行中の車内では「行き先表示板」や「ヘッドマーク」のレプリカなどグッズが販売されていた。これもツアー参加者の楽しみであり、主催者の重要な収入源のひとつだ。しかし、もうけというより「鉄道ツアー企画を続けるために数字で実績を作りたい」という思いが強いという(右)
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